Interview

インタビュー

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COVID-19禍における、小児科対応状況 [感染症指定医療機関編]第1回

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2019年12月に中国・武漢から端を発し、現在も社会的に大きな影響を与えている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」について、小児医療に関わる先生方の対応状況および今後の課題について、先生方にお話を伺っていきます。

今回は、感染症指定医療機関の小児科に勤務されている先生にお話を伺いました。第1回は、現在の感染症対策、小児科受診状況と、1度目の緊急事態宣言時の状況についてお話を伺いました。

先生の病院について教えてください。

当院は、一般疾患から専門的な高度医療も提供している感染症指定医療機関です。小児科医は10名以上、研修医の先生も在籍しています。

現在(2021.2)の院内での感染症対策、小児科受診状況

現在(2021.2)の院内の感染症対策について教えてください。

当初から、我々が濃厚接触者にならないようにということで、サージカルマスクはもちろんのこと、ゴーグルやフェイスシールドで目の保護を必ず行うようにしています。病院の横に建てたプレハブ小屋を発熱外来として、曜日と時間を決めて対応しています。濃厚接触者に該当する方は発熱外来で問診を行い、必要な方に検査のご案内をして帰れそうな方にはいったんお帰りいただくという流れです。

現在(2021.2)の小児科への来院状況はいかがでしょうか?

小児科外来の患者さんはだいたい通常時の半数程度に減っている印象です。現在小児科のCOVID-19患者さんの入院は0です。小児の発熱患者はすごく減ったと思います。みんな風邪をひかなくなりましたね。また、これまでのように気軽に病院にかからなくなったというのはあるのかなと思います。

発熱のあるお子さんはすべて発熱外来で診られるのでしょうか。

当院では発熱の方用の質問票を用意しています。質問票の項目に「流行地域に行ったことがある」「家庭内に同じ症状の人がいる(父親や母親が発熱しているなど)」などがあり、それに該当する患者さんは発熱外来で対応します。熱が出ているだけの場合は、できるだけ発熱外来ではなく一般の小児外来で対応するようにしています。

質問票は、貴院独自で作られたのでしょうか?

はい。当初我々の地域ではそこまでCOVID-19陽性患者が多くなかったため、質問票を利用してうまくスクリーニングをかけられるように、と感染症科の先生が作成されました。

オンライン診療はされていますか?また、今後の対応予定はいかがでしょうか。

当院ではオンライン診療には対応していません。また、今後も実施する予定はありません。これは体制が整っていないため、という理由が大きいですね。ただ、通院歴があって症状が安定していて処方を変えないという前提であれば電話再診を行っています。

例えば、重症心身障害児や、親御さんに基礎疾患のあるご家庭はご希望に合わせて電話再診を適宜行っています。

COVID-19がもたらした影響:2020年(1度目の緊急事態宣言以降)

この1年を振り返ると、2月末の一斉休校要請、4月7日~の緊急事態宣言、第2波、第3波そして年明け1月からの再びの緊急事態宣言、と状況が変わり続ける中での対応にご苦労も多かったのではないでしょうか。昨年の状況についてお話を伺いました。

緊急事態宣言(1度目:2020年4月~)は、来院状況にどのような変化がありましたか?

1度目の緊急事態宣言は、休園・休校を伴ったことで来院状況にもっとも変化がありました。

受診患者さんは、一般外来含め健診・予防接種すべてにおいてだいたい半数以下程度に減ったのではないでしょうか。この状況はその後も大きく変わってはいません。

病気が流行らなかったこともあるかもしれないですし、病院に行くのが怖いのでちょっとした熱なら寝ておこうかなというのもあったと思います。

本来適切な時期に予防接種と乳児検診を行えなかった患者さんもいらっしゃるので、将来的に影響が出る懸念もあります。ただ、具体的に健診が行えなかったことで障害が残ったなどの話は今のところ聞いていません。予防接種については川崎市の調査でも予防接種の接種率が下がっていることが報告されていますね。※

新型コロナウイルス感染症流行時における小児への予防接種について(日本小児科学会)
http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=345

受診を控えられる患者さんは実際多かったと感じられていましたか?

受診控えというのはあったかと思います。「鼻が出た」とか「熱が出た」という理由で来院される患者さんは確実に減りました。発熱していても実は5日経ってたとか...。「もうちょっと早く来てもよかったね」というケースもありましたね。

ただ、感染症がきっかけで起こる気管支喘息もこの1年はすごく少なかったですし、体調不良を訴えるお子さんが減っているのではないかなと思っています。自宅療養しているうちに良くなってしまい受診に至らない例もあるのではないでしょうか。一方で、感染症以外の病気はとくに減ったという印象はありません。

COVID-19禍においては、子どものうつ症状が深刻化している、という報道もありましたが、先生の病院ではうつ症状や不登校など心因的な理由での来院が増えたなどの実感はありますか?

コロナ×こどもアンケート調査報告一覧 > 調査報告ダイジェスト版 >こどものうつ症状
http://www.ncchd.go.jp/center/activity/covid19_kodomo/report/

不登校のお子さんは一定数おられますが、COVID-19禍においてそれが理由で外来患者がすごく増えわけではありません。ただ、とくに休園・休校を伴っていた1度目の緊急事態宣言時には子どもたちはストレスを抱えているなと思うことが多かったです。

子どもたちがストレスを抱えているな、と感じられたのはなぜですか?

家庭内の事故での受診が増えたからです。ソファーから飛び跳ねて頭を打ったとか、きょうだいげんかをして棒で殴っちゃったとか。小学生ぐらいのお子さんに多かったですね。これは救急外来でも同様です。外に遊びに行けないので今まで発散できていたものができなくなっているのかなと。

一方で、親御さんたちもCOVID-19禍において収入が不安定になったり、職を失ったりといった就労の不安から家庭内がギスギスしてしまったり、こういったことが原因で虐待疑いのケースが増えたりという話も聞いています。

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