Interview

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COVID-19禍における、小児科対応状況 [感染症指定医療機関編]第3回

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2019年12月に中国・武漢から端を発し、現在も社会的に大きな影響を与えている「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)」について、小児医療に関わる先生方の対応状況および今後の課題について、先生方にお話を伺っていきます。

今回は、感染症指定医療機関の小児科に勤務されている先生にお話を伺いました。第3回は、病院と地域との連携、研修医への影響、病院経営への影響、そしてCOVID-19が小児科および子どもたちに与えた影響について先生のお考えを伺っています。

地域との連携

園や学校との連携は行っていましたか?

定期的に行っていたわけではないのですが、地域における児童虐待についてのWeb会議に小学校の先生がいらしたので、そこでコロナ禍での学校の様子を伺っていました。学校の先生方からは、「休校の影響で学校の勉強が遅れてしまう」「オンライン授業を行いたいが、すぐに環境を整えられない」といった声があり、実際にできることと学校関係者の理想を実現するのはギャップがあるんだなと感じていました。

小児科医として、園や学校には子どもたちのためにどのような点に配慮して欲しいと思われますか?

情緒発達面を考えると、小学生はしっかり感染症対策をすれば授業や給食といった通常の学校生活を普段どおりに過ごさせてあげるのが良いと思います。修学旅行なんかは難しいかもしれませんが。学校側はクラスタが発生してしまうリスクを考慮して過剰反応してしまうのもわからないではないですが...。

乳幼児に関してはマスクを付けているほうがリスクがありますし、一緒にいる大人が感染症対策をしっかり行うことが大切です。未就学児については「ごはんの前は手をよく洗おう」「舐めた手でお友だちに触らないようにしよう」など、発達に合わせたやさしい言葉での指導が必要だと思います。

研修医への影響

先生の施設では小児科の後期研修医がいらっしゃるとのことですが、研修医への影響はありましたか?

はい。研修医への影響は非常に大きな問題だと思っています。

COVID-19禍においては小児科患者が少なく、研修医が経験すべき症例を十分に体験できませんでした。特殊な感染症への対応ができたという利点もありましたが、一般的な小児科医としての修練を積む上での必要な経験が詰めなかった点は、研修医本人たちも不安がっています。

通常、小児外来は「今かからなくてもいいよね」といったケースが多くあります。こういったケースで親御さんや患者さんにどう寄り添っていくか、という点は実際の患者さんから学ぶことも多いのですが、昨年は経験が不足しています。飛沫が飛ぶため、インフルエンザの検査もほとんどしなくなりました。これまでの小児科なら必ず経験することを経験できなかった、当たり前の手技や処置についての研修医の経験不足は、今後の彼らのキャリアだけでなく小児医療においても影響があるのではと懸念しています。

患者さんが減ったとのことですが、代わりに研修医が行っていたことは何かありますか?

はい。座学で急変時のシミュレーションを看護師さんも交えて行ったり、論文の指導、症例検討、疾患の解説や検査の読み方などテーマを決めて短い時間で実施し、診療以外の部分を強化していました。

さきほど、小児科医が成人のお手伝い行かれているというお話(→小児病棟側の体制)でしたが、そのことで研修医や若い先生方の経験値がさらに不足してしまう懸念はありますか?

成人への対応はスタッフ以上の小児科専門医を持っている医師のみが対応しています。感染リスクを考慮している点もありますが、やはり小児科の経験のほうが大切だと考えているためです。

COVID-19が小児科経営に与えた影響

小児科の患者数が減り小児医療の経営面の危機が報道される中、診療報酬上乗せが検討されています。実際のところは現在検討されている助成で十分と考えていますか?

現在検討されている助成制度は、患者の来院がないと受けることができません。患者さんが来なければ助成はありませんので十分とは言い難いのではないでしょうか。小児医療の機能を維持するためには、病院の規模に応じた保証が必要なのでは、と思います。

最後に:COVID-19が小児科、子どもたちに及ぼした影響とは?

約1年間現場で診療されて、COVID-19がもたらした子どもたちへの影響で一番問題だと思う点はどんなことですか?

これまで当たり前にあった行事がなくなってしまった、休校で子ども同士のコミュニケーションが取れなくなってしまった、親世代の収入が不安定になり家族関係が不安定になった、など、さまざまなことが問題だと思っています。

とくに、子ども同士のコミュニケーションは発達にとって非常に重要と考えているので、今後も子どもたちの集団生活の場がなくならないように、と願っています。

2度目の緊急事態宣言では休校は回避されたので、今後は親御さんたちの就労不安による子どもへの影響を懸念しています。

この点について、医師や病院側でできることはあるとお考えですか?

親御さんが行政サービスなどの知識がないこともあります。病院のソーシャルワーカーさんを通じて適切な情報提供を行うことも大切だと思っています。

COVID-19が小児科に与えた影響として、最も大きいものはどんな点だと思われますか??

お話したとおり、外来患者の減少による研修医の経験不足も懸念されますし、小児科の廃業が増え今後病気が流行ったときに受け入れ先がなくなってしまうのではないか、という点もCOVID-19が小児科に与えた影響として懸念はしています。

ですが、親御さんや子どもたちの感染症対策への意識は明らかに向上しました。COVID-19が公衆衛生に与えた影響は大きいと考えています。COVID-19の感染症対策を行ったことで、その他の感染症も流行しなくなり病気の子どもが減ったことは喜ばしいことだと考えています。

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