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学会レポート・取材

医療と介護の総合展(20/10/14~16)

クリニックのIT活用最前線 ~オンライン診療と集患スキーム~①「オンライン診療の現状と今後の展望」

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2020年10月14日~16日で行われた「医療と介護の総合展」にて行われた、(株)メドレー代表取締役医師/東北大学 特任教授(客員)豊田 剛一郎氏の講演についてレポートいたします。

当日の会場内は、椅子に座りきれず壁際にずらりと立ったまま聴講する方が並ぶ大盛況となり、オンライン診療への強い関心がうかがえました。

オンライン診療は、患者さんと医療機関をつなぐ選択肢の1つでしかない

想定以上の動きに危惧する一面も

メドレー社のオンライン診療ツール「CLINICS」は2016年2月にローンチしました。 2018年4月に診療報酬改定でオンライン診療料が新設され、2020年の今年の診療報酬改定およびコロナによる解禁の動きから、想定以上の動きを見せているという状況です。等身大のオンライン診療を超えたような期待感があるように思え、ずっと関わってきた身としては危惧している点でもあります。

「CLINICS」利用医療機関は現在2700ほど。日本で1番使われているオンライン診療システムです。といっても、医療機関全体からみると導入率はまだ5%ほどです。

「第4の選択肢」としてのオンライン診療

オンライン診療は、患者さんと医療機関をつなぐ選択肢の1つでしかないと考えています。 臨床現場ではこれまで、患者さんの状況によって診療スタイルを外来、入院、在宅と選んでこられたと思います。「オンライン診療」は、診療スタイルにおける第4の選択肢だと考えています。

ですので、よく言われている「対面とオンラインどちらがいいか?」という議論は無駄なことではないでしょうか。「この患者さんは外来がいいのか、入院がいいのか」という比較をすることはないですよね? 患者さんの層や診療スタイルを組み合わせ最良のものを選んでいただければいいですし、使える診療科、使える先生も限られてくると思っています。

こういった点に加え、コロナ禍においては院内2次感染リスクをきっかけに導入いただいている医療機関が増えています。

ビデオチャットだけがオンライン診療ツールの要件ではない

「SkypeやFacetimeでもいいのでは?」といった声もありますが、「CLINICS」では受診予約、患者さんの事前情報の入手、決済機能などを含めてご利用いただけるようになっています。電話診療では未払いのケースもあると聞いています。

オンライン診療ご導入のきっかけは、もともとは「セカンドオピニオンで利用したい」「術後患者さんのQOL向上のために利用したい」といった専門的なニーズでした。診療所への導入が多かったのですが、ここ1~2年は大学病院や地域の中核病院でも導入が進んでいます。

導入医療機関の伸びは10倍に

2020年4月10日の厚生労働省の事務連絡で、初診から電話・オンラインでの診療が可能になりました。これにより、4月の新規顧客医療機関は2月の10倍、4月の月間新規登録患者数は2月の9倍の伸びを記録しています。

オンライン診療の診療回数が伸びたのは、内科、小児科、アレルギー科

オンライン診療の診察回数を診療科別の比率でみると、4月以降は内科、小児科、アレルギー科、精神・心療内科、皮膚科、産婦人科の順となっています。小児科については対面診療が減ったという情報もありますが、オンライン診療は増えてきています。

80%以上の医療機関が「患者さんの利便性向上」と回答

導入いただいた医療機関の感想としては、「患者さんの利便性向上」が81%、「院内感染の防止」70%、「通院継続率の向上」52%という順になっています。また、長くご利用されている医療機関ほど「かかりつけ機能の向上」を実感される割合が増えてきていると感じています。

また、患者さんについても、オンライン診療を受けた方は半数以上が継続してオンライン診療を希望するという結果がでています。
(中央社会保険医療協議会 診療報酬改定結果検証部会(第59回) 議事次第 検-2-2 https://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000207397_00004.html)

オンライン服薬指導

調剤薬局窓口支援システム「Pharms」(ファームス)で薬局向けのサービスも提供開始

昨年12月の薬機法改正で、服薬指導の対面必須が外れ法律上オンライン服薬指導が可能になりました。本来であれば今年の9月から臨床現場での実施となるはずでした。ところがコロナの影響で4月~オンライン服薬指導が可能になっています。

メドレーとしても9月3日より調剤薬局窓口支援システム「Pharms」(ファームス)https://pharms-cloud.com/をリリースし、2000以上の薬局から問い合わせをいただいており、クオール、クラフト様が全店舗導入を決定されています。

今後の展望

発熱外来をオンライン診療で実施するケースも

この2週間ほどオンライン診療についてかなりの報道がなされており(注1)ます。
こういった状況下ですが、やはりオンライン診療での完全初診は怖いな、ということもあります。

初診については、原則対面のケース、オンラインOKのケース、処方するケースしないケースなど、導入施設ごとに患者さんの状況などに合わせて切り分けて考える必要があると考えています。

現在コロナ禍においては、CLINICS導入の医療機関さんで「オンライン発熱外来」を実施されているところがあります。

発熱患者さんをいったんすべてオンラインで診て必要な対処療法を行い、37度台の自宅療養が可能そうな患者さんであればオンライン診療とし、1~2日後に再診をし、必要であれば適切な検査ができる施設を紹介するという流れです。

コロナ禍という特殊な状況下で、インフルエンザとのツインデミックを避けるために初診オンラインという使い方は例外的ではありますがよいのではと考えていますが、やはり初診の患者さんは会ったほうがいい、なんでもかんでもオンラインがいい、という風潮は危惧しています。

最後に

今オンライン診療のシステム導入について、自治体から補助がでているケースもあります。 ぜひ上手くご活用いただき、オンライン診療導入に役立てていただければと思います。

注1:初診を含めてオンライン診療原則解禁 平井デジタル改革 https://www.mixonline.jp/tabid55.html?artid=69996
コロナ電話初診終了 病状把握困難 厚労省が検討 https://mainichi.jp/articles/20201009/ddm/012/010/110000c

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