
COVID-19の乳児患者のほとんどは軽症、カナダ単施設からの報告
「JAMA Network Open」より
カナダの単施設で新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のPCR検査を受けた1歳未満の乳児の陽性率は2%で、8割以上に消化器症状や発熱が認められたものの、ほとんどは軽症であったことが、「JAMA Network Open」に2020年12月14日掲載されたリサーチレターから明らかになった。
モントリオール大学(カナダ)付属の母子医療センターであるCHU Sainte-JustineのLuc Panetta氏らは、2020年2月14日から5月31日の間に、COVID-19と診断され、自施設で治療を行った乳児を対象に、症状と重症度について報告した。解析は、有意水準5%の両側検定とし、ウィルコクソンの順位和検定やフィッシャーの直接確率検定を行った。
期間中に1,165例の乳児がCOVID-19のPCR検査を受け、陽性率は2%(25例)だった。このうち32%(8例)は入院を要した。別の2症例がCOVID-19と診断されて直ちにCHU Sainte-Justineに入院した。COVID-19と診断された計27例の乳児(うち入院10例)の56%は男児で、日齢中央値は89日だった。
COVID-19と診断された27例において、最も頻度の高い臨床症状は消化器症状(23例、85%)で、38度以上の発熱(22例、81%)、咳や咽頭炎などの上気道症状(16例、59%)が続いた。大腸菌に起因する尿路感染症の併発は5例(19%)に認められた。生後3カ月未満の児(14例)と生後3~12カ月の児(13例)で比較したところ、出生体重中央値は3,138g対2,055g(P=0.02)、妊娠期間中央値は38.8週対34.0週(P=0.05)と、3カ月以降の方が低出生体重児や早産児が多かったものの、臨床症状に明らかな差は見られなかった。また、入院を要した児10例中7例は軽症であり、酸素吸入を必要とした児はいなかった。
これらの結果を受け、Panetta氏らは「これまでの報告によれば、COVID-19の乳児が呈する症状は主に発熱で、ほとんどは軽症であり、人工呼吸器使用やICU入室は必要ないとされている。今回の報告も同様の結果だった」と述べている。(HealthDay News 2020年12月18日)
- 書誌事項
Clinical Characteristics and Disease Severity Among Infants With SARS-CoV-2 Infection in Montreal, Quebec, Canada
Panetta L, et al. JAMA Network Open. Published online December 14, 2020. doi: 10.1001/jamanetworkopen.2020.30470