
新型コロナで親を失った子どもは約4万人、米調査
「JAMA Pediatrics」より
米国では、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が原因で親と死別した子どもは3万7,300〜4万3,000人に上ると推定されることが、「JAMA Pediatrics」に4月5日掲載のリサーチレターで報告された。親と死別した子どものうち約4分の3は10代だったほか、黒人の子どもは親と死別するリスクが高いことも分かった。
米ニューヨーク州立大学ストーニーブルック校のRachel Kidman氏らは、COVID-19の死亡者1人につき、片親を失う子どもが何人出るかを人口統計学的シミュレーションから算出し、COVID-19パンデミック下で親との死別を経験した子どもの数を予測するモデルを作成した。さまざまなシナリオを仮定してこれを適用し、2021年2月時点における親と死別した子どもの数を推定した。
その結果、COVID-19の死亡者1人につき、0~17歳の子どもが親と死別する数は0.078人と推定された。これは、COVID-19が流行しなかった場合と比べて、親と死別するケースが17.5~20.2%増加することを意味する。また、この0.078人という数字を用い、2021年2月時点で、COVID-19による死亡数(47万9,000人)をベースとして計算すると、少なくとも片親を失った0~17歳の子どもは3万7,337人と推定された。うち約4分の3に当たる2万7,474人は10~17歳の思春期の子どもだった。また、超過死亡数(55万2,000人)をベースとして計算すると、このような子どもは4万3,027人に上ると推定された。
黒人の子どもは、米国小児人口に占める割合が14%に過ぎないにもかかわらず、COVID-19で親と死別した子どもの20%を占めていた。さらに、米国内で十分な人数が自然に新型コロナウイルスに感染するのを待つ集団免疫戦略を取った場合、国内で150万人が死亡し、親と死別する子どもは11万6,922人に達すると推定された。
これらの結果を踏まえて著者らは、「親と死別した子どもの全国規模の集団を作ると、このような子どもを特定して、次々に生じる問題を早期に捉えることができるようなる。また、そうすることで、子どもが住んでいる地域でケアを受けられるようにすることができるだろう。さらには、社会的孤立や経済的困窮といういまだかつてない困難に見舞われている状況下で、大勢の子どもが親を失ったことの長期的な影響を追うための基礎にもなるだろう」と述べている。(HealthDay News 2021年4月5日)
- 書誌事項
Estimates and Projections of COVID-19 and Parental Death in the US
Kidman R, et al. JAMA Pediatrics. Published online April 5, 2021. doi: 10.1001/jamapediatrics.2021.0161