
心疾患のある若年者は口腔衛生状態が悪い、米CDC調査
「Morbidity and Mortality Weekly Report」より
先天性心疾患などの心疾患を抱える若年者は、口腔内の細菌が心内膜炎を起こすリスクがあるが、このような若年者は、そうでない者と比べて口腔内の衛生状態が悪く、歯の状態も良くなかったとする調査結果が、米疾病対策センター(CDC)が発行する「Morbidity and Mortality Weekly Report」2月11日号に掲載された。
CDCのKarrie F. Downing氏らは、2016~2019年の児童健康調査(National Survey of Children's Health)のデータを用いて、1~17歳の心疾患のある若年者2,928人と心疾患のない若年者11万6,826人を対象に、口腔内の衛生状態や歯の状態、歯科健診などの予防歯科ケアの受診状況を比較した。両群の比較にはロジスティック回帰モデル(性別、年齢、人種などを調整)とWaldχ²検定を用いた。
その結果、心疾患のある者の約84%は、過去1年間に何らかの歯科治療を受けており、83%は予防歯科ケアを受けていた。一方、心疾患のない者のうち予防歯科ケアを受診したのは80%で、両群間に有意差はなかった(P=0.06)。一方で、心疾患のある者は、そうでない者と比べて口腔内の衛生状態が「不良」である(慢性的または頻繁の歯痛、歯肉出血、齲歯のうち、1個以上がある)割合が高く(17.2%対13.7%、P=0.02)、歯の状態が「可」あるいは「不可」である割合も高かった(9.9%対5.3%、P<0.01)。
さらに、心疾患のある者においては、低所得世帯であること、知的障害や発達障害があること、乳幼児健診やかかりつけ医を未受診であることは、歯の状態や口腔内の衛生状態の悪さと関連していた。一方で、6~17歳や医療保険に加入している者では、予防歯科ケアを受診する割合は高かった。
著者らは、今回の調査結果について、「心疾患を持つ若年者、特に低所得者層や知的障害や発達障害のある若年者が、口腔衛生と口腔ケアを受けられるようにしていくためには、親や患者本人への啓発とともに、小児科医と歯科医、心臓専門医などの連携強化などを方策として取り上げていくべきだろう」と述べている。
- 書誌事項
Preventive Dental Care and Oral Health of Children and Adolescents With and Without Heart Conditions — United States, 2016–2019
Downing KF, et al. Morbidity and Mortality Weekly Report 2022 February 11/71(6);189–195.