
スクリーンタイムの長さが小児の問題行動に関連か
「JAMA Psychiatry」より
12歳以下の小児では、テレビやビデオゲームなどのデジタル画面を見るスクリーンタイムの長さが攻撃性や不注意、不安や抑うつといった問題行動と、弱いながらも有意に関連するという研究結果が、「JAMA Psychiatry」に3月16日掲載された。
カルガリー大学(カナダ)のRachel Eirich氏らは、MEDLINEやEmbase、PsycINFOデータベースを用いて、1960年1月から2021年5月の間に発表された論文を検索し、12歳以下の小児を対象にスクリーンタイムの長さと外在化問題行動および内在化問題行動との関連を検討した595件の英語論文を抽出。そのうち条件を満たした87件の論文を用いてメタアナリシスを行った。解析にはランダム効果モデルを用い、子どもの年齢、性別、社会経済的状況、スクリーンタイムと問題行動を報告した人物(子ども、親)と評価方法(ログイン時間、質問票、インタビュー)、論文発表年、研究デザインと質を変数として考慮した。研究間の異質性の評価にはQ統計量とI²統計量を用いた。
解析対象とした87件の論文は、12歳以下の小児計15万9,425例(平均年齢は6.07±2.89歳、男児51.3%)を対象としていた。解析の結果、子どものスクリーンタイムが長いほど、攻撃性や不注意などの外在化問題行動(r=0.11、95%信頼区間0.10~0.12)、および不安や抑うつなどの内在化問題行動(r=0.07、0.05~0.08)の増加と、弱いながらも有意な関連が認められた。
ただし、解析対象とした研究には有意な異質性が見られ(I²=87.80)、これには性別などの人口統計学的な要因や、スクリーンタイムや問題行動を誰が報告したか、スクリーンタイムをどのような方法で測定したかなど、方法が統一されていないことが影響していると考えられた。
以上の結果から著者らは、「スクリーンタイムのデータを分析する際には、測定手法などの方法を今より厳密に規定する必要がある。メディアの世界は進歩が極めて急速であり、デジタル機器を使用する様子をさまざまな切り口から検討し、子どものメンタルヘルスへの影響を分析していくことが求められる」と述べている。
- 書誌事項
Association of Screen Time With Internalizing and Externalizing Behavior Problems in Children 12 Years or Younger
A Systematic Review and Meta-analysis
Eirich R, et al. JAMA Psychiatry. Published online March 16, 2022. doi: 10.1001/jamapsychiatry.2022.0155