
乳幼児の週当たり新型コロナ関連入院率、オミクロン株優勢期にはデルタ株優勢期の約5倍に
「Morbidity and Mortality Weekly Report」より
米国では、2021年12月下旬から始まった新型コロナウイルスのオミクロン株優勢期には、乳幼児(0~4歳)における週当たり新型コロナウイルス感染症(COVID-19)関連入院率のピーク値が、デルタ株優勢期の値の約5倍に上ったとする報告が、米疾病対策センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report」3月15日号に発表された。オミクロン株優勢期に入院した乳幼児で最も多かったのは生後6カ月未満の児だったが、重症度には年齢層で差は認められなかった。
CDCのCOVID-19緊急対策チームに所属するKristin J. Marks氏らは、米国のサーベイランスCoronavirus Disease 19-Associated Hospitalization Surveillance Network(COVID-NET)のデータを用いて、2020年3月以降の0~4歳児のCOVID-19関連入院について調査を行った。2020年3月1日~2021年6月26日を前デルタ期、2021年6月27日~12月18日をデルタ株優勢期、2021年12月19日~2022年1月31日をオミクロン株優勢期として比較した。解析にはWilcoxon順位和検定とχ2検定を用いた。
その結果、0~4歳児10万人当たり・週当たりのCOVID-19関連入院率は、デルタ株優勢期には2021年9月11日に終わる週にピークに達し、このときの値は2.9だった。ところが、オミクロン株優勢期では2022年1月8日に終わる週にピークに達して14.5人であり、デルタ株優勢期の約5倍に上っていた(相対リスク5.0、95%信頼区間3.8~6.8)。
オミクロン株優勢期に入院した0~4歳児の63%は基礎疾患を有しておらず、入院患者の44%は6カ月未満の児が占めていたが、重症度の指標(集中治療室入室や人工換気など)には年齢層(6カ月未満、6~23カ月、2~4歳)で差は見られなかった。
著者らは、「COVID-19が乳幼児に対し、いかなる長期的影響を及ぼすかについては、今後さらなる研究が必要だ」としながらも、「現在、6カ月未満の乳児はワクチン接種の対象ではないが、この年齢層の児は、母親がワクチンを受けて獲得した抗体を、胎盤を通じて得ることによって免疫を獲得しているのかもしれない」と述べている。
なお、1人の著者が製薬企業との利益相反(COI)に関する情報を明らかにしている。
- 書誌事項
Hospitalization of Infants and Children Aged 0-4 Years with Laboratory-Confirmed COVID-19 -- COVID-NET
14 States
March 2020-February 2022.
Marks KJ, et al. MMWR Morb Mortal Wkly Rep. Published online March 18, 2022. doi: 10.15585/mmwr.mm7111e2