米国小児科学会が乳幼児の安全な睡眠環境に関する推奨を改訂
「Pediatrics」より
米国小児科学会(AAP)は、乳幼児突然死症候群(SIDS)を含む睡眠に関連した乳幼児死亡リスクの低減を目的に、乳幼児の安全な睡眠環境に関する推奨を改訂したとする声明を、「Pediatrics」に6月21日公表した。
米バージニア大学医学部のRachel Y. Moon氏らは、最新のエビデンスに基づき、睡眠に関連した乳幼児死亡リスクを減らすための推奨事項に関する勧告の改訂を行った。
まず、乳幼児は、1歳になるまで仰向けの姿勢(仰臥位)で寝かせることが推奨されている。横向き寝は安全ではなく推奨されない。また、窒息や挟み込み防止のために、硬く平らで傾きのない寝床面に寝かせることも推奨される。
乳幼児と親は寝室を共有するが、就寝中に大人が乳幼児に覆い被さる事故を防ぐため、少なくとも生後6カ月までは添い寝は避け、乳幼児はベビーベッドなど親とは別の場所に寝かせることが理想的だとしている。その際、枕や布団、寝具など柔らかいものは、寝ている乳児の側に置かないように留意する。
SIDSリスクを低減するには、可能な限り母乳育児が推奨される。また、昼寝時と就寝時にはおしゃぶりを与えることも勧められる。さらに、妊娠中から出産後は、喫煙やニコチンへの曝露、飲酒、大麻、オピオイド、違法薬物の使用は避けるべきである。妊婦は、妊娠中のケアをしっかり受けるべきであり、また、乳幼児には各種予防接種をAAPや米疾病対策センター(CDC)のガイドラインに沿って受けさせるべきである。
著者らは声明の中で、「家族と小児科医が互いに協力し合い、信頼関係を築き、睡眠中の子どもの命の安全を守る方法について十分に話し合うことが重要だ」と述べている。(HealthDay News 2022年6月21日)
- 書誌事項
Sleep-Related Infant Deaths: Updated 2022 Recommendations for Reducing Infant Deaths in the Sleep Environment
Moon RY, et al. Pediatrics. Published online June 21, 2022. doi: 10.1542/peds.2022-057990