米国で若年者の新型コロナ後遺症を分析
「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」より
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)罹患歴のない若年者と比べて、COVID-19に罹患した同年代の若年者では、罹患後の後遺症として急性肺塞栓症、心筋炎および心筋症などの疾患リスクが高まることが判明したとする研究結果が、米疾病対策センター(CDC)発行の「Morbidity and Mortality Weekly Report(MMWR)」8月5日号に発表された。
COVID-19罹患後の成人の症例においては、後遺症が長期化する場合があると報告されているが、若年者のデータは限られている。米CDCのCOVID-19緊急対応チームに所属するLyudmyla Kompaniyets氏らは今回、大規模な医療請求データベースを用いて、2020年3月1日から2022年1月31日の間にCOVID-19に罹患した若年者(0~17歳)計78万1,419人とCOVID-19罹患歴のない同年代の若年者計234万4,257人のデータを抽出。両群を比較し、COVID-19後遺症の可能性がある9つの症状(睡眠障害など)と15の疾患(急性肺塞栓症など)について発症率を算出し、Cox比例ハザードモデルを用いて調整ハザード比(HR)を推定した。
その結果、COVID-19罹患なし群と比べ、罹患あり群において調整HRが最も高かったのは急性肺塞栓症の2.01であり、心筋炎および心筋症(1.99)、静脈血栓塞栓症(1.87)、急性および詳細不明の腎不全(1.32)、1型糖尿病(1.23)が続いた。なお、これらの発症率自体は低いもので、例えば、急性肺塞栓症の発症率は、罹患なし群で10万人年当たり13、罹患あり群で同23に過ぎなかった。
これとは逆に、罹患なし群と比べ、罹患あり群で調整HRが1.0より低い症状や疾患も見られた。これらの症状には睡眠障害(0.91)、呼吸器症状(0.91)、精神症状(0.91)が、疾患には筋肉の異常(0.94)、神経学的異常(0.94)、不安や恐怖に関連した障害(0.85)、気分障害(0.78)があった。
著者らは、「今回の結果は、COVID-19に罹患した若年者において、その後の数カ月間にどんな症状や状態が起こり得るかについて、医療職や看護職に就く人々にとって大いに参考となるものだろう」と述べている。(HealthDay News 2022年8月4日)
- 書誌事項
Post–COVID-19 Symptoms and Conditions Among Children and Adolescents — United States, March 1, 2020–January 31, 2022
Kompaniyets L, et al. Morbidity and Mortality Weekly Report 2022 August 5;71(31):993-999. doi: 10.15585/mmwr.mm7131a3.