帝王切開により出生した児では白血病リスクが上昇か
「Hematological Oncology」より
帝王切開により生まれた児は、経腟分娩により生まれた児と比べ、その後、白血病に罹患するリスクが高かったとするシステマティックレビューおよびメタ解析の結果が、「Hematological Oncology」に8月24日掲載された。帝王切開の中でも選択的(予定)帝王切開により生まれた児は急性リンパ性白血病(ALL)リスクが上昇していたという。
最近の疫学的研究から、帝王切開により生まれた児は、その後、気管支喘息やアレルギー疾患など、免疫が介在する疾患に罹患しやすい可能性が示唆されている。寧波市女性・小児病院(中国)のYingzhu Yang氏らは今回、2022年2月までに公表された、帝王切開とそれにより生まれた児の白血病リスクとの関連を報告した論文のシステマティックレビューを実施。抽出した1,321論文のうち条件を満たす16論文を対象にメタ解析を行い、帝王切開または経腟分娩により生まれた児の白血病リスクを比較した。解析にはランダム効果モデルを用いた。
その結果、帝王切開により生まれた児は、経腟分娩により生まれた児と比べて白血病リスクが高く〔オッズ比(OR)1.07、95%信頼区間(CI)1.02~1.13、P=0.01〕、特に急性リンパ性白血病(ALL)のリスクが上昇していた(同1.09、1.03~1.16、P=0.004)。ただし、帝王切開の種類別に見ると、ALLリスクは選択的帝王切開により生まれた児では高かったが(同1.18、1.07~1.31、P=0.001)、緊急帝王切開により生まれた児では関連は認められなかった(同1.11、0.86~1.42、P=0.430)。一方、急性骨髄性白血病のリスクは、緊急帝王切開でも選択的帝王切開でも上昇していなかった(緊急帝王切開:OR 1.59、95%CI 0.92~2.77、P=0.098、選択的帝王切開:同0.88、0.63~1.23、P=0.451)。
以上の結果から著者らは、「難産または緊急の産科疾患が妊婦にある場合、帝王切開は母子ともに死亡率を著しく低下させるが、過剰に行うべきではない」と強調し、「医療従事者も妊婦も、選択的帝王切開が子どもの将来的な健康に有害な影響を与える可能性に目を向けるべきだ」と述べている。(HealthDay News 2022年9月15日)
- 書誌事項
Association of cesarean section with risk of childhood leukemia: A meta-analysis from an observational study
Yang Y, et al. Hematological Oncology. Published online August 24, 2022. doi: 10.1002/hon.3070