トランスアルドラーゼ欠損症患者における腎臓学的異常。
DOI:10.1093/ndt/gfs061
アブストラクト
背景:トランスアルドラーゼ欠損症(OMIM 606003)は、2001年に初めて報告された多臓器疾患である。トランスアルドラーゼはペントースリン酸経路の可逆的部分の酵素である。罹患者は、体液中、主に尿中のポリオール濃度が異常である。臨床症状は様々である。主な症状は、凝固障害、血小板減少、肝脾腫、肝線維症、異形成である。本研究の目的は、トランスアルドラーゼ欠損症患者の腎表現型の特徴を明らかにすることである。
方法:現在判明しているトランスアルドラーゼ欠損症患者9人全員の臨床検査データをレトロスペクティブ・カルテ解析によって収集した。
結果:9例中7例に腎臓学的異常が認められた。最も一般的な所見は低分子量(LMW)蛋白尿と高カルシウム尿であった。最も高齢の2例は中等度の慢性腎不全であった。2人の患者では全身性のアミノ酸尿が認められ、2人の患者では腎性リン酸欠乏症が、3人の患者では高クロレミア性代謝性アシドーシスがみられた。3人の患者に解剖学的異常がみられた。
結論:トランスアルドラーゼ欠損症患者の大部分に腎尿細管機能障害がみられ、慢性腎不全に至る可能性がある。原因不明の肝機能障害とLMW蛋白尿の合併は、尿中ポリオールの測定によるトランスアルドラーゼ欠損症の代謝スクリーニングを促すべきである。トランスアルドラーゼ欠乏症患者では、腎機能のモニタリングが必須である。