遅発性ライソゾーム貯蔵疾患の新生児スクリーニングに関する患者の見解。
DOI:10.1016/j.ymgme.2016.07.009
アブストラクト
ライソゾーム貯蔵病(LSD)は、個々にはまれであるが、遺伝性、進行性、多臓器疾患の総称である。最近の技術の進歩により、米国ではLSDの新生児スクリーニング(NBS)が注目されている。しかし、LSDの症状の多くは小児期後半から成人期にかけて現れ、その重症度には幅がある。晩発性症状は従来のNBSモデルから外れているため、医療提供者は患者および/またはその家族への潜在的危害について懸念を表明している。本研究では、ファブリー病(FD)47人、ゴーシェ病(GD)22人、遅発性ポンペ病(LOPD)22人を対象に、NBSによって生活にどのような影響があったかを調査した。91人の参加者のうち、出生時に症状があった人はおらず、42人(46.7%)は成人するまで無症状であった。半数以上(52.8%)が症状発現から5年以上経過してから診断され、このうちFD(60%)またはLOPD(63.6%)はGD(23.8%)より有意に多かった。しかし、診断に要した期間は、NBSに対する意見と有意な相関はなかった。ほとんどの参加者は、NBSに強く同意する(45%)か同意する(33.3%)のどちらかであり、疾患間に有意差はなかった。NBSに対する意見は、NBSによって現在の健康状態が改善したかどうかに関する参加者の意見と相関していたが、疾患の重症度や現在の生活満足度とは相関していなかった。FD(42.6%)およびLOPD(63.6%)の参加者は、GD(13.6%)よりも有意に多く、新生児の時に診断を受けていれば、より高い生活満足度が得られたと感じた(p=0.007)。ほぼ半数(41%)の参加者は、ライフスタイル、経済的、生殖に関する決定を含め、異なる人生の決定をしていたであろう。潜在的な弊害については、参加者は保険に加入できないことを最も懸念しており、子どもの自主性がなくなることを最も懸念していなかった。結論として、NBSは、診断の迷いを大幅に解消し、人生設計を変える可能性があることから、LSD患者自身の間では非常に支持されている。