小児生体肝移植における抗真菌薬ミカファンギンの血漿中濃度。
DOI:10.1016/j.transproceed.2024.01.020
アブストラクト
背景:小児の生体肝移植(LDLT)候補者は、しばしば長期の抗生剤治療を受ける。LDLT後の抗真菌薬としてミカファンギンが使用されているが、小児LDLT後の適切な投与量は不明であった。ここでは、小児LDLT後のミカファンギンの血中濃度を報告し、その安全性と適切な投与量について考察する。
方法:LDLT後のミカファンギン濃度のデータがある小児患者を同定した。外科的合併症を有する患者は除外した。全例が標準的なタクロリムスベースの免疫抑制を受けた。術後1日目(POD)から10日間、1mg/kgのミカファンギンを1日1回投与し、POD1、4、7、10にミカファンギンのトラフおよびピーク血中濃度を評価した。ミカファンギンの有効性と安全性を判定するため、βDグルカン値と肝機能検査を評価した。
結果:10例の患者が登録され、年齢中央値は1.2歳であった。移植片対体重比の中央値は2.7%であった。原疾患は胆道閉鎖症(n=7)、Alagille症候群(n=2)、進行性家族性肝内胆汁うっ滞2型(n=1)であった。POD1、4、7、10におけるミカファンギンの平均ピーク値はそれぞれ4.47、6.27、5.47、5.47μg/mLであった。平均トラフ値はPOD4、7、10でそれぞれ2.03、1.88、2.66μg/mLであった。ミカファンギンの半減期はPOD4、7、10でそれぞれ13.7、14.7、14.0時間であった。βDグルカン濃度は移植前が4.4 pg/mL、移植後が3.7 pg/mLであり、有意差はなかった(P = 0.3)。臨床的な真菌感染は観察されなかった。
結論:ミカファンギンの投与は小児LDLT後に安全かつ有効である。
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