胆汁うっ滞性肝疾患の幼児および小児におけるABCB4ヘテロ接合の臨床的転帰。
DOI:10.1002/jpn3.12080
アブストラクト
目的:多剤耐性3蛋白質(MDR3)をコードするアデノシン三リン酸結合カセットサブファミリーBメンバー4(ABCB4)遺伝子の2塩基変異は、3型進行性肝内胆汁うっ滞を引き起こす。しかし、モノアレリックバリアントは成人における肝疾患の一因であると認識されつつある。我々の目的は、胆汁うっ滞性肝疾患を有する乳幼児および小児の大規模コホートにおけるMDR3ヘテロ接合体変異体の臨床的特徴を記述することであった。
方法:2004年から2022年の間にロンドンのKing's College Hospitalを受診し、ABCB4のヘテロ接合体変異を有することが判明した小児患者の臨床データおよび遺伝子型データを検討した。
結果:1568例中92例(5.9%)にモノアレリック変異が認められた。最も多くみられた症例は共役高ビリルビン血症(n=46;50%)で、次いで胆石症(n=12;13%)、胆汁うっ滞性肝炎(n=10;11%)であった。来院時の肝生化学の中央値は以下の通りであった:GGTは105IU/L、総ビリルビンは86μmol/Lであった。ミスセンス22個(69%)、欠失4個(13%)、スプライス部位5個(16%)、ターミネーション1個(3%)を含む32個の遺伝子変異が同定された。追跡期間中央値1年で、肝疾患は消失した。
結論:胆汁うっ滞性肝疾患の乳幼児と小児に、ABCB4のまれな変異がみられた。発現する問題は様々で、異常は時間の経過とともに正常化する傾向があった。重篤な変異を有する者は、さらなる障害にさらされた場合、後に肝疾患を発症する可能性があり、適切なカウンセリングが必要である。
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