ライソゾーム貯蔵病を有するエジプト人小児の口腔の健康状態:歯科的指標、唾液中サイトカインレベル、および細菌叢の評価。
DOI:10.1111/ipd.13216
アブストラクト
背景:先天性代謝異常の一群であるライソゾーム貯蔵病(LSD)には、ムコ多糖症(MPS)やゴーシェ病(GD)など様々な亜型がある。身体的/精神的障害の他に、口腔内の悪化も見られる。
目的:エジプトのLSD患者の口腔の健康状態を評価する。
デザイン:本研究では、30人のLSD児と30人の非LSD児を登録した。齲蝕有病率および歯周状態を評価するために歯科的指標を用いた。唾液サンプルは、インターロイキン6(IL-6)、腫瘍壊死因子α(TNF-α)、タンパク質レベル、およびStreptococcus mutans(ミュータンス連鎖球菌)とLactobacilli(乳酸桿菌)のコロニー数を推定するために、登録したすべての小児から採取した。
結果:MPS児とGD児では、虫歯、欠損、充填歯(DMFT)のスコアに有意差はなかった(p = 0.115)。DMFTスコアはMPS児で有意な増加を示したが、GD児では有意な増加はみられなかった(p = 0.020, p = 0.127)。LSD児では、Modified Gingival Index(MGI)、Plaque Index(PI)、Oral Hygiene Index(OHI-s)スコア(p<0.001)、唾液中のIL-6、TNF-α(それぞれp=0.007、p=0.001、p<0.0001、p=0.002)および唾液中の総タンパク質(p=0.001)が有意に増加した。予想外なことに、MPSとGDの小児では、唾液中のレンサ球菌や乳酸菌数に有意な差は認められなかった(それぞれp = 0.058、p = 0.420、p = 0.502、p = 0.053)。
結論:我々の知る限り、これはエジプトのLSD患児を評価した最初の論文である。MPS患者では永久歯ではなく乳歯のう蝕罹患率が高いこと、MPSおよびGD患者では歯肉・衛生状態が悪く、炎症状態を引き起こしていることが示された。サプリメントを毎日摂取することで、口腔内細菌の増殖が抑制された。唾液タンパク質の有意な増加から推測されるように、口腔内変化の最も可能性の高い原因は唾液流量の減少である。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。