頭痛と腹痛を伴う抗サルファチド抗体関連GBS:症例報告。
DOI:10.1186/s12887-023-04287-5
アブストラクト
背景:ギラン・バレー症候群(GBS)は、自己免疫によって引き起こされる急性の炎症性末梢神経障害である。ガングリオシドとスルファチドは末梢神経の重要な構成成分である。抗スルファチド抗体を介した補体は、痛みや知覚異常を特徴とするGBSの急性感覚運動性末梢神経障害と関連している。
症例提示:7歳の女児で、頭痛と腹痛の後、四肢のしびれと痛みが出現した。頭蓋画像検査で脳室拡張が、末梢神経機能伝導検査で多発性神経根症が、脳脊髄液検査で細胞数は正常であったが蛋白濃度が上昇したことからGBSと診断された。免疫グロブリン静注療法(400mg/kg×5日間)を施行したが、症状は改善せず、筋力は徐々に悪化し、発作性の顔面潮紅、心拍変動、多汗、脳脊髄液蛋白の漸増(最高3780.1mg/L)を伴った。これらの所見と血清抗サルファチドIgM陽性を総合し、抗サルファチド抗体関連GBSと考え、低用量プレドニゾロン(1mg/kg/d)による治療で症状改善をみた。
結論:抗サルファチド抗体関連GBSは小繊維末梢神経障害を伴う。主な症状は疼痛、感覚障害、自律神経障害である。脳脊髄液蛋白の増加による脊髄神経根吸収障害に加えて、自律神経機能障害が疼痛に関与している可能性がある。免疫グロブリンの治療効果が不十分な場合は、副腎皮質ステロイドの低用量・短期投与が考慮され、予後は良好である。
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