アブストラクト

背景：肝移植（LTx）は、末期肝疾患の小児に対する救命のための主要なルーチンの治療法である。しかし、小児のLTx登録の分析から、近年の適応プロファイルの変化について多くの情報が得られる。

方法：本稿では、文献レビューとわれわれの経験に基づき、小児のLTx適応の変化に関する成功、希望、課題について包括的なレビューを行う。また、小児科3次紹介病院におけるLTx適応のレトロスペクティブレビューも行った。

結果および結論：新しい治療法の出現により、B型およびC型慢性肝炎感染症、チロシン血症1型ではLTxの必要性は減少した。原発性高オキサ尿酸血症1型では、RNAiを用いた新しい治療法によりLTx（単剤、併用）の必要性がなくなった。回腸胆汁酸トランスポーター（IBAT）遮断薬の導入により、アラジール症候群や進行性家族性肝内胆汁うっ滞患者におけるLTxの必要性が減少することが期待されている。神経発達障害の予防として尿素サイクル障害（UCD）のある小児がLTxの適応となるケースが増えている。