小児IBD患者における体重過多と肥満が抗TNF療法への反応と疾患経過に及ぼす影響。
DOI:10.1093/ibd/izae165
アブストラクト
背景:本研究の目的は、小児の炎症性腸疾患(IBD)患者において、抗TNF療法開始時の過体重や肥満が治療効果や再発率に及ぼす影響を評価することである。
方法:この多施設レトロスペクティブコホート研究には、14ヵ国22施設のIBD施設が参加した。抗腫瘍壊死因子(抗TNF)が導入されたIBDと診断された小児を対象とし、過体重/肥満の小児と健常/低栄養の小児を比較した。
結果:637人の小児(370人[58%]男性、平均年齢11.5±3.5歳)を対象とし、140人(22%)が過体重/肥満群(OG)、497人(78%)がBMI≦1SD(CG)であった。平均追跡期間は141±78週(中央値117週)であった。追跡期間中、抗TNF薬に対する反応消失(LOR)に群間差はなかった。しかし、OG群の小児は対照群よりも用量増量が多かった。男性であることと、抗TNF療法開始時に免疫調節薬を併用していなかったことが、LORに関連する危険因子であった。抗TNF薬導入後1年間の再発率に差はなかったが、追跡調査終了時の再発率はCGと比較してOGで有意に高かった(それぞれ89 [64%] vs 218 [44%], P < 0.001)。単変量解析および多変量解析の結果、体重過多/肥満、UC罹患、または性別が男性であることが、再発リスクの高さと関連する因子であることが明らかになった。
結論:過体重・肥満のIBD小児は、抗TNF薬によるLORのリスクは高くなかった。抗TNF薬導入後1年間は再発がみられたが、追跡調査終了時には再発リスクが上昇していた。
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