血縁関係のない17人のアラジール症候群児の臨床的、病理学的および遺伝学的特徴。
DOI:10.1186/s12887-024-04973-y
アブストラクト
背景:アラジール症候群(ALGS)は、肝疾患を主徴とする多臓器にわたる遺伝性疾患である。本研究では、臨床診断の効率化を目的として、ALGSの臨床的、病理学的、分子遺伝学的特徴を解析した。
方法:2012年1月から2022年1月までに当センターに入院し、改訂された診断基準に基づいてALGSと診断された17名の小児の臨床症状、病理学的検査所見、遺伝学的検査結果をレトロスペクティブに解析した。
結果:臨床症状は以下の通りであった:胆汁うっ滞(16/17、94%)、特徴的な顔貌(15/17、88%)、心疾患(12/16、75%)、蝶形椎(12/17、71%)、後胚毒(7/12、58%)。肝臓病理検査を受けた15人のうち、13人(87%)に程度の差はあれ胆管欠損が認められた。15人の小児に対して遺伝子検査を行ったところ、13人にjagged canonical Notch ligand 1(JAG1)遺伝子の病原性変異体が同定され、その中には4つの新規変異体が含まれていた。ノッチホモログ2(NOTCH2)遺伝子の病原性変異体は同定されず、2人の小児は前述の遺伝子の病原性変異体のいずれも示さなかった。追跡調査期間の中央値は7年であった。残りの15人の患者(追跡不能2人を除く)のうち、11人は安定を保ち、4人は悪化し、追跡期間中に死亡した患者はいなかった。
結論:ALGSと診断された小児のうち、胆汁うっ滞が最も一般的な特徴であった。誤診のリスクを最小限にするため、胆汁うっ滞を示す小児に対しては遺伝子検査を実施し、その後ALGSの改訂診断基準を適用すべきである。ALGS患者には薬物療法が有効であるが、重度のそう痒症の場合には肝移植が考慮される。