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SMAD4の機能獲得型変異は呼吸器上皮機能を損なう。

DOI:10.1016/j.jaci.2024.08.024

アブストラクト

背景:Myhre症候群は、SMAD4遺伝子の生殖細胞系列変異に起因する極めてまれな遺伝病であるが、診断が増加している。その主な症状は、多臓器にわたる硬化と線維化の進行である。Myhre症候群の患者は上気道のリモデリングと感染症の傾向を示す。この表現型の根底にある分子および細胞機序は不明である。

目的:Myhre症候群に関連するSMAD4病原性変異体が、患者由来の鼻上皮細胞において、SMAD4タンパク質レベル、活性化、および生理学的機能にどのような影響を及ぼすかを調べることを目的とした。

方法:2016年から2023年にかけてマサチューセッツ総合病院で募集した47名の患者コホートについて臨床観察を行った。健常人(n=8)およびMyhre症候群患者(n=3;SMAD4-Ile500Val、Arg496Cys、Ile500Thr)の下鼻甲介ブラッシングから鼻上皮基底細胞を単離し、培養した。トランスクリプトーム解析と機能アッセイを行い、SMAD4レベル、転写活性、および細胞増殖、粘膜繊毛分化、細菌排除を含む上皮細胞の宿主防御機能を評価した。

結果:臨床所見から、Myhre症候群のほとんどの人に中耳炎と副鼻腔炎の既往があることが判明した。鼻上皮細胞の解析から、SMAD4変異はSMAD4タンパク質の安定性や上流の制御的SMADリン酸化を変化させないが、シグナル伝達転写活性を亢進させることが示され、おそらくSMAD複合体のタンパク質間相互作用の亢進に起因する機能獲得メカニズムが支持された。その結果、Myhre症候群鼻基底細胞は、細胞増殖と粘膜毛様体分化の可能性が低下した。さらに、Myhre症候群の鼻上皮は細菌の殺傷能力が低下している。

結論:Myhre症候群の上皮細胞に由来する自然免疫の低下は、上気道感染症に罹患しやすくなる一因となっている可能性がある。

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