実データを用いた1型ゴーシェ病の早期診断のための機械学習モデル。
DOI:10.1016/j.jclinepi.2024.111517
アブストラクト
目的:ゴーシェ病(GD)の診断は、臨床的特徴のばらつきが大きく特異性が低いことに加え、初期症状に対する医師の認識も低いため、大きな課題となっている。早期かつ正確な診断は、効果的な治療法の決定を可能にし、不必要な検査を防ぎ、遺伝カウンセリングを容易にするために重要である。本研究では、約260万人の患者に関する20年間の縦断的データを含むMaccabi Healthcare Services電子データベースを用いて、実臨床データに基づくGDスクリーニングおよびGD早期診断のための機械学習(ML)モデルを開発することを目的とした。
研究デザインと設定:1998年1月から2022年5月までのGD患者についてMaccabi Healthcare Servicesデータベースをスクリーニングした。適格な対照群を出生年、性別、社会経済的地位で1:13の割合でマッチさせた。データを75%の訓練セットと25%のテストセットに分割し、医療記録と検査記録から得られた特徴を用いてGDを予測するように訓練した。モデルの性能は、受信者動作特性曲線下面積と精度-再現曲線下面積を用いて評価した。
結果:264人のGD患者が確認され、3,429人の対照群とマッチした。テストセットにおける最良のモデル性能(既知のGD徴候および症状、未知の臨床的特徴、および管理コードを含む)は、受信者動作特性曲線下面積=0.95±0.03、精度再現曲線下面積=0.80±0.08であり、臨床診断よりも2.78年早くGDを同定することができた(25-75パーセンタイル:1.29-4.53)。
結論:実世界のデータに対してMLアプローチを用いることで、GD患者と対照群との間の優れた識別が可能となり、実際の診断時よりも有意に早くGDを検出することができた。したがって、このアプローチはGDのスクリーニングツールとして有用であり、早期診断・早期治療につながる可能性がある。さらに、高度なML分析により、臨床診断や健康を求める行動など、GDに関連するこれまで認識されていなかった特徴が浮き彫りになるかもしれない。
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