胸腔鏡下連続交感神経切除術は小児の術後代償性発汗の発現に影響するか?
DOI:10.1016/j.jpedsurg.2024.08.012
アブストラクト
背景:手掌多汗症(PH)に対する胸腔鏡下交感神経切除術(TS)後の代償性発汗(CS)の発生は、この手技の大きな欠点である。CSの発生を最小限に抑えるために、交感神経切除のレベルを変えたり、2つの手技の間に間隔を空けて両側で順次行うなど、いくつかの手法が提案されている。本研究の目的は、術後の代償性発汗の発生と重症度に関して、T3-T4 TSを連続して行った場合と、両側同設定のT3-T4 TSを行った場合とを比較することである。
方法:本研究は、2020年3月から2023年3月までに原発性手掌多汗症患者38例(女性20例、男性18例)を対象とした。患者の年齢は5~18歳で、2群に分けられた:I群にはT3-T4 TSを順次施行した23例が含まれ、II群にはT3-T4 TSを両側同時に施行した15例が含まれた。両群は、患者の特徴、手術の詳細、術後の転帰に関して比較された。
結果:両群間に有意な性差、年齢分布の差はみられなかった。平均累積手術時間はI群で有意に長かった(38分対27分)。代償性発汗の割合にI群とII群で統計学的有意差はなかった(それぞれ6/23 [26%] vs 5/15 [33%]; p = 0.77)。いずれの群においても、過乾燥や再発はみられなかった。
結論:逐次TSは、代償性発汗の発現に関して、両側同一セッティングTSと比較して優れた結果を示さないようである。両側同一セッティングTSの実施は、安全かつ実行可能であり、手術時間、入院期間、総費用がより短い。
証拠レベル:IV。