重症A型血友病の小児におけるエミシズマブ
DOI:10.1007/s12098-024-05263-2
アブストラクト
目的:血友病A(HA)におけるエミシズマブ予防療法の有効性と忍容性を評価すること。エミシズマブは、HA患者への使用が承認された初の、かつ唯一の非因子補充療法薬である新規治療薬である。
方法:重症HAを有し、凝固因子VIII阻害体の有無にかかわらず頻発/生命を脅かす出血イベントを呈する1ヶ月~12歳の小児患者(n=18)を対象とした観察的前後比較研究。患者はオンデマンド療法または予防的因子VIII/バイパス剤/免疫寛容誘導療法からエミシズマブ予防療法へ切り替え、52週間追跡した。
結果:エミシズマブ開始1年前、登録小児患者全体で229件の出血事象が発生した。エミシズマブ予防投与後、5患者が各1回の出血事象を経験し、1年間の平均出血持続期間は1.2日であった。 年間平均出血率は、エミシズマブ予防投与前(12.7±8.61回)から予防投与後(0.28±0.46回)に有意に減少した(p<0.001)。 全コホート(n=18)のうち、72.2%の患者(n=13)はエミシズマブ投与中に出血イベントを全く認めなかった(95%信頼区間:46.4-89.3)。関節出血の平均年間発生率は9.72±7.44から0.17±0.38に減少した(p<0.001)。 目標関節回復率は100%であり、有害事象は認められなかった。結論:エミシズマブは、第VIII因子阻害体の有無にかかわらず、重症血友病Aの予防薬として有効かつ安全であることが確認された。エミシズマブ予防療法は、重症血友病A患児の治療成果を最適化し、生活の質の向上に寄与しうる。
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