進行性家族性肝内胆汁うっ滞のスペクトルの拡大:3例の報告。
DOI:10.1093/ajcp/aqae123
アブストラクト
目的:進行性家族性肝内胆汁うっ滞症(PFIC)は、胆汁の分泌や輸送に異常があるために起こる常染色体劣性遺伝の疾患群であり、通常は小児期に胆汁うっ滞を呈する。本稿では、診断に難渋したPFICの3症例について述べ、遺伝子解析の役割を明らかにする。
方法:各症例の病歴、検査データ、肝生検、分子生物学的解析を検討した。
結果:症例1はプエルトリコ出身のヒスパニック系男性で、生後2ヵ月から肝腫大を認め、17歳の時に全ゲノム配列決定(WES)によりATP結合カセットサブファミリーBメンバー4(ABCB4)のスプライス部位のホモ接合体変異(c.2784-12T>C)が同定され、最終的にPFIC3と診断された。症例2は37歳の男性で、アルコール依存症の既往があり、肝機能検査に異常があり、生検で管減少を認めた。分子生物学的検査により、病原性ヘテロ接合体ABCB4変異(c.1633C>T)が発見され、PFIC3と診断された。症例3は2歳の女性で、当初は薬剤性肝障害と診断されたが、WESによりミオシンVB(MYO5B)のヘテロ接合性フレームシフト変異(p.Asp300Trpfs*19)とヘテロ接合性ミスセンス変異(c.1357T>C)が同定され、PFIC10と診断された。
結論:これらのPFIC症例は、不均一な病像と診断上の課題を浮き彫りにし、次世代シーケンサーの役割、特にWESの有用性を強調している。
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