酵素補充療法はゴーシェ病における赤血球造血と鉄調節異常を改善する。
DOI:10.1007/s00277-024-05918-2
アブストラクト
貧血と高フェリチン血症はゴーシェ病(GD)の診断時にしばしば認められる所見である。マクロファージ非依存性の赤血球造血障害と鉄代謝異常が示されている。われわれは、診断時(T0)の血液学的および鉄の状態、ならびに1型ゴーシェ病患者およびCD34+末梢血細胞からの生体外赤血球造血モデルを用いた5年間の追跡調査における赤血球造血および鉄利用に対する酵素補充療法(ERT)の効果を評価した。T0では、患者の41%が貧血、51%が高フェリチン血症であった。ヘモグロビンは12.6g/dL(T0)から13.9g/dL(T6)に増加し、効果的でない赤血球造血のマーカーであるGFD15は5401から710pg/mlに減少し、血清フェリチンは614から140mcg/Lに減少した(p<0.001)。並行して、トランスフェリン飽和度(TSAT)も上昇した。ヘプシジンは正常範囲であったが、T0からT6まで減少した。Ex vivoでの研究から、ERTはCD34由来の赤血球+分化能力が低下した細胞を回復させることが示された。ERT中、鉄を取り込む赤血球前駆細胞の能力と一致するTFRC発現の増加、HAMPの減少とそれに伴うSLC40A1の増加が観察された。この研究は、GDの臨床データと生体外データを組み合わせて、赤血球造血と鉄代謝を評価した縦断的追跡調査を行った最大の研究である。鉄の調節異常が貧血の一因である可能性が高く、ERTは鉄の分布を改善することによって赤血球造血を改善する。
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