腸内細菌叢は、炎症性腸疾患の臨床的側面ではなく、小児の乳糖消化と比較して乳糖吸収不良によって影響を受ける。
DOI:10.1016/j.ajcnut.2024.09.031
アブストラクト
背景:炎症性腸疾患(IBD)患者の食事からの乳糖除去は、有害な影響が腸内細菌を介して媒介されるとの推測のもとに続けられている。
目的:乳糖吸収不良(LM)を有する小児と有さない小児において、IBDの特徴と診断時の腸内マイクロバイオーム(IM)の変化を比較する。
方法:クローン病(n=149(63%))または潰瘍性大腸炎(n=86)と診断され、乳糖呼気水素検査を受けた小児(8~17歳)の横断コホートを評価した。V6超可変領域の16Sリボソームリボ核酸遺伝子アンプリコンシークエンシングを用いて、診断時に粘膜腔吸引液のIMをプロファイリングした。
結果:235人の小児のうち61人(26%)がLMであった。微生物学的解析の結果、乳糖を吸収できる小児と吸収できない小児との間で、腸管部位やIBDの亜型によって異なる細菌量の差が認められた。年齢[13.2±3.0歳(平均±標準偏差)、12.7±3.4歳;P = 0.25]、性別(P = 0.88)、病変の範囲、来院時の重症度(P = 0.74)に差はなく、2年間の追跡期間中に生物学的製剤を開始する必要性(P = 0.43)にも差はなかった。
結論:LMはIBD小児の臨床症状や転帰に影響を与えない。しかし、本研究は、単一の非吸収性発酵性食品が、局所的かつ疾患特異的にIBDを変化させる可能性があることを証明した。IBDの病態生理学および疾患の発症と進行におけるIMの役割についてさらに解明が進むにつれて、他の潜在的な発酵性栄養素およびその産物がIBDの転帰に及ぼす影響を検討することは有益であろう。