小児の炎症性腸疾患における血球貪食性リンパ組織球症/マクロファージ活性化症候群:臨床的特徴と転帰。
DOI:10.1007/s00431-024-05772-4
アブストラクト
炎症性腸疾患(IBD)の小児における血球貪食性リンパ組織球症(HLH)/マクロファージ活性化症候群(MAS)は、逸話的にしか報告されていない。本研究の目的は、IBDとHLH/MASの両方と診断された小児の臨床的特徴と転帰を記述することである。IBDおよびHLH/MASの特徴、生化学的、微生物学的、遺伝学的評価、治療、転帰に関するデータをItalian Pediatric IBD Registryから収集し、記述統計学を用いて提示した。4643例のIBD患者のうち、18例(0.4%)がHLH/MASと診断され、そのうち12例が潰瘍性大腸炎、6例がクローン病であった。18例のうち7例(39%)が早期発症IBDであったが、HLH/MAS診断時の年齢中央値は14.0歳(IQR 11.9-16.0)であった。患者の半数はHLH/MAS診断時に活動性IBDであり、11例(61%)がチオプリン製剤を、6例(33%)が抗TNF生物学的製剤を投与されていた。15人(83%)の患者で感染性の誘因が同定された。1例(5%)はXIAP欠損症と診断された。全例がチオプリン製剤を中止し、5例(83.3%)が抗TNF生物学的製剤を中止した;16例(80%)がHLH/MASに対してステロイドを投与された。3例(17%)がHLH/MASを再発した。追跡期間中央値2.7年(IQR 0.8-4.4)の間にリンパ腫を発症した患者や死亡した患者はいなかった。結論HLH/MASは主に早期発症IBDの小児に発症するが、主に思春期に免疫抑制剤治療中の感染症後に発症する。予後は一般に良好であるが、基礎にある免疫不全を調べることが重要である。