小児におけるA型肝炎ウイルス誘発自己免疫様肝炎の臨床病理学的スペクトラム。
DOI:10.1111/jvh.14028
アブストラクト
A型肝炎ウイルス(HAV)感染が肝自己免疫の引き金になることを示す証拠は限られているが、この領域はほとんど未解明である。そこで本研究は、HAV誘発自己免疫様肝炎(HAV-ALH)を、HAV関連肝機能障害(HAV-急性ウイルス性肝炎またはHAV-AVH)および古典的自己免疫性肝炎(AIH)と比較する目的で計画された。これは、肝生検を受けたHAV感染患者46例(HAV-ALH17例を含む:病理組織学的診断に基づく)の後方視的レビューであり、年齢と性別をマッチさせた古典的AIHの46例と比較した。全体として、HAVコホート(n = 46)では、そう痒症の有病率が高く、ビリルビン値が高く、胆汁うっ滞の割合が高く、IgG値が低く、血清陰性度が高く、疾患の再発がなかったのに対し、古典的AIH群では、界面肝炎、線維化、壊死、仮性肝炎の割合/重症度が高かった(p < 0.05)。古典的HAV-AVH群と比較すると、HAV-ALH群ではAST値が高く、自己抗体の存在度が高く、組織学的検査でゾーン3の重篤なperivenulitisと著明なpseudorosettingの有病率が高かった(p<0.05)。また、HAV-ALH群はAIH群と比較して、そう痒症が多く(OR 7.29、p < 0.004)、血清陰性が多かった(41%対13%、p < 0.031)。一方、罹病期間(p < 0.003)、IgG値(p < 0.001)、肝硬度測定値(p < 0.006)はAIH群で有意に高かった(HAV-ALH群およびHAV-AVH群に対して)。組織学的には、AIHと比較して、HAV-ALH群では界面肝炎(OR 0.03、p<0.001)と線維化(OR 0.08、p<0.001)が有意に少なく、胆汁うっ滞(OR 4.5、p<0.021)が有意に多かった。HAV感染は、薬物誘発性自己免疫様肝炎と同様に、免疫介在性肝障害の潜在的な引き金として作用する可能性がある。この点をさらに検討するためには、より大規模な多施設共同研究が必要である。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。