小児血友病患者における予防投与開始前の頭蓋内出血:発生率、時期、予防の可能性。
DOI:10.3324/haematol.2024.285874
アブストラクト
血友病の小児は正常集団と比較して頭蓋内出血(ICH)のリスクが有意に高い。予防投与はICHのリスクを減少させるが、特に血友病A(HA)においては、予防投与を早期に開始することが可能である。本研究の目的は、予防薬開始前のICHの自然経過を評価し、そのタイミングと発生率を記述することにより、予防薬の早期開始によるICH予防の可能性を探ることである(clinicaltrials gov. Identifier: NCT02979119)。合計2,727例の小児(HA 2,275例;血友病B 452例)がPedNetレジストリに登録され、生後28日から36ヵ月まで追跡された。61例の小児でICHが観察され(発症率2.2%;1,000患者年あたり10例)、その75%は1歳以前に発症した。累積発生率はHA(2.5%)に比べHB(0.9%)、重症HA(3.5%)に比べ非重症HA(0.7%)で有意に低かった。ICHは早期に発生し、3ヵ月で上昇し、中央値は重症HAで7.0ヵ月、重症HBで5.4ヵ月であった。40%の小児では、血友病の診断が確定する前にICHが発症しており、早期診断の重要性が強調されている。仮に診断時に予防が開始され、重症HAの小児のすべてのICHを予防できたと仮定すると、1人のICHを予防するために44人の患者を予防薬で治療する必要がある。願わくば、生後早期から、理想的には重症HAの小児では生後3ヶ月までに予防を開始できるようにすることで、将来的にICHの発生率を減少させたいものである。
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