ドイツにおけるライソゾーム貯蔵病患者に対する在宅ケア酵素補充療法の医療費。
DOI:10.1186/s13023-024-03492-4
アブストラクト
背景:ライソゾーム貯蔵病(LSD)は酵素補充療法(ERT)の点滴静注で治療可能である。ERTは専門クリニックまたは在宅療養の場で行われている。研究によると、在宅ERTは安全であり、患者報告アウトカムにプラスの影響を与える。在宅でERTを実施する場合、看護師によるより高度な個別ケアが必要となるため、医療制度に新たなコストがかかるのではないかという疑問が生じる。ドイツの医療制度に対するコストデータは現在入手できないため、本研究の目的は、LSD患者の在宅ケアERTコストを評価することである。
方法:縦断的研究では、2019年から2021年にかけて、ファブリー病、ポンペ病、ゴーシェ病、MPS IのLSD患者を対象に、在宅ERTの直接的な費用を患者ごとに評価した。評価されたコストには、ERT薬剤およびさらなる投与機器、輸液の準備、投与、後処理に必要な時間、看護スタッフの旅費が含まれた。
結果:62例の患者のデータが分析された。その内訳は、ファブリー病29例(46.8%)、ポンペ病19例(30.6%)、ゴーシェ病10例(16.1%)、MPS I 4例(6.5%)であった。患者の年齢は3歳から79歳(平均40歳)で、42%が合併症を報告した(高血圧19.4%、心臓病10%)。ERT関連費用の平均総額は、全患者で年間369,047ユーロであった。これらの費用の約98.5%は輸液療法と投与そのものに起因し(363,880ユーロ)、約1.5%は人件費と旅費に起因した。ポンペ病患者の年間平均コストは483,907ユーロと最も高く、ファブリー病患者は264,896ユーロと最も低かった。LSD間のコスト差は主にERT薬剤費によるもので、ファブリー病で注入される薬剤費はゴーシェ病やポンペ病で注入される薬剤費の約半分である。ファブリー病はゴーシェ病やポンペ病の約半分の薬剤費であった。MPS Iの患者は約2倍の輸液を必要としたにもかかわらず、この疾患の薬剤費は有意に低く、その結果、平均総費用は分析したすべてのLSDサブタイプの中で2番目に低かった。
結論:総費用は輸液関連材料、特にERT薬剤によってほぼ決定されるため、ERTを在宅環境に移行することによる費用の増加は期待できない。
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