小児アトピー性皮膚炎患者におけるビタミンDおよびインターロイキン-33の血清中濃度と重症度との関連について検討した。
DOI:10.1007/s00403-024-03709-3
アブストラクト
はじめに:アトピー性皮膚炎(AD)は、CD4 Tヘルパー細胞(Th2)を介した、環境要素に対する皮膚の過敏性亢進を特徴とする慢性炎症性疾患である。インターロイキン-33(IL-33)は、炎症組織における症状の悪化に重要な役割を果たしている。逆に、ビタミンDは抗菌ペプチドを誘導し、炎症反応を抑制することが示されている。そこで本研究の目的は、アトピー性皮膚炎の小児におけるビタミンDとIL-33の血清レベルの相関を調べることである。
方法:アトピー性皮膚炎患者51名と健常対照者20名から血液を採取した。血球を計数した後、遠心分離により血清を分離し、ELISAを用いてIL-33、免疫グロブリンE(IgE)、ビタミンDの濃度を測定した。収集したデータの統計分析は、SPSSバージョン26ソフトウェアを用いて行った。
結果:IL-33(p値<0.001)、IgE(p値0.005)、ヘモグロビン(HGB)(p値<0.001)、ヘマトクリット(HCT)(p値<0.001)、平均筋ヘモグロビン(MCH)(p値0.001)、平均筋ヘモグロビン濃度(MCHC)(p値<0.001)、リンパ球数(p値0.02)、単球数(p値<0.001)などの血球パラメータが、対照群と比較してAD患者において有意に高かった。さらに、AD患者におけるIL-33とビタミンDの血清レベルには有意な相関があった(p値0.03)。
結論:本研究により、AD患者と健常人の間でIL-33とIgEの血清レベルに有意差があることが明らかになった。このことは、AD疾患の病態生理におけるこれらの変数の役割の可能性を示唆している。