フェニルケトン尿症とチロシン血症3型の共存:食事管理における課題。
DOI:10.1515/jpem-2024-0378
アブストラクト
目的:フェニルケトン尿症(PKU)とチロシン血症3型(HT3)は、いずれもフェニルアラニン-チロシン代謝のまれな常染色体劣性遺伝性疾患である。PKUはフェニルアラニン水酸化酵素(PAH)の欠損によって引き起こされ、フェニルアラニン(Phe)濃度の上昇とチロシン(Tyr)濃度の低下をもたらす。HT3はチロシン血症の中で最もまれな病型であり、4-ヒドロキシフェニルピルビン酸ジオキシゲナーゼ(HPD)の欠損が原因である。
症例報告:PKUとHT3の両方と診断された5歳の女児を報告する。彼女は新生児スクリーニングでPhe値の上昇を示し、その後の生化学検査で高フェニルアラニン血症とTyr値の上昇を認めた。遺伝子解析の結果、PAHとHPDの両遺伝子におけるホモ接合体変異が同定され、診断が確定した。最適なPheとTyrレベルを維持するための食事管理は、特に感染時にこれら2つの病態が共存するため、また食事が遵守されないために困難であることが判明し、治療戦略の頻繁な調整が必要となった。
結論:この症例は、原因不明の臨床所見および生化学所見を有する患者において、複数の代謝障害を考慮することの重要性を強調している。早期診断と厳格な食事管理は、神経学的障害を予防し、代謝障害を併発した患者に良好な転帰をもたらすために極めて重要である。
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