ムコ多糖症II型(ハンター症候群)患者における血漿と尿の探索的メタボロームプロファイリング:パイロット研究。
DOI:10.1016/j.ymgme.2025.109022
アブストラクト
ハンター症候群としても知られるムコ多糖症II型(MPS II)は、X連鎖性のライソゾーム貯蔵障害である。イデュロン酸-2-スルファターゼ(I2S)という酵素の欠損により、様々な組織や臓器にグリコサミノグリカン(GAG)が蓄積する。臨床症状としては、骨格異常、顔面粗大化、臓器肥大、発達遅延などがある。本研究の主な目的は、神経因性MPS IIに特異的なバイオマーカーを同定し、罹患患者の早期発見、診断、モニタリング、フォローアップに役立てることである。そのため、液体クロマトグラフィー-高分解能質量分析法(LC-HRMS)を用いた非標的メタボローム解析法を応用し、神経因性MPS II患者と健常対照者を識別できる可能性のあるバイオマーカーを同定した。副次的な目的は、この疾患が患者のメタボロームにどのような影響を与えるかをより深く理解することであった。重篤な臨床症状を特徴とする未治療の神経因性MPS II患者21名の尿および血漿サンプルを、Xevo G2-XS Qtof MS (Waters Corp.)を用いて、年齢および性別をマッチさせた健常対照23サンプルと比較した。包括的なメタボロームワークフローと多変量統計解析により、MPS II患者で一貫して上昇している代謝物が明らかになった。これらの代謝物には、アシルアミノ糖、ジペプチド、アミノ酸およびその誘導体、脂質構造、代謝経路の障害を示す様々な化合物が含まれる。タンデム質量分析法を用いて定量法の開発と検証を行う。さらに、MPS II患者の中枢神経系(CNS)に関連するバイオマーカーを同定することで、この疾患の神経細胞障害型を早期に発見し、新規治療戦略の有効性を評価することが可能になる。
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