小児炎症性腸疾患における便中好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン値の評価。
DOI:10.1002/jpn3.70015
アブストラクト
目的:炎症性腸疾患(IBD)は免疫介在性の慢性・寛解・再発性疾患である。疾患活動性のモニタリングに用いられるカルプロテクチンは、炎症時に好中球性顆粒球から発現する。好中球ゼラチナーゼ関連リポカリン(NGAL)は顆粒球と腸上皮細胞層の両方に強く発現している。本研究の目的は、IBD小児における便中NGAL(FNGAL)と便中カルプロテクチン(FCAL)を比較することである。
方法:IBD患児44名と健常児22名を対象とした。患者を活動期と寛解期の2群に分けた。患者の臨床的特徴、人口統計学的特徴、疾患活動性スコア、血清および糞便マーカーを記録した。
結果:患者の平均年齢は13.2±3.4歳(範囲6-17歳)、男女比は0.62であった。活動期の患者のFNGAL値は寛解期の患者よりも高かった(p < 0.001)。小児潰瘍性大腸炎活動性指標スコアと白血球数、血小板、好中球対アルブミン比(NAR)、赤血球沈降速度(ESR)、C反応性蛋白(CRP)、FNGALとの間に統計学的に有意な正の相関が認められた。小児クローン病活動性指標スコアと血小板、NAR、ESR、CRP、FNGALとの間には正の相関があったが、活動性スコアとアルブミンとの間には統計学的に有意な負の相関があった。FNGALは感度95.5%、特異度81.8%であったが、FCALは感度86.7%、特異度85.7%であった。
結論:FNGAL値はIBD患者の疾患活動性の判定において高感度であり、有用なバイオマーカーであることが示唆された。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。