標準治療非HSCT化学療法後の小児がん生存者におけるワクチン接種に対する反応に関する第Ⅱ相試験。
DOI:10.1002/pbc.31611
アブストラクト
はじめに:小児がん生存者は、がん治療後にワクチンで予防可能な疾患(VPD)に対する体液性免疫の変動がみられる。がんと診断されても生存する小児の数は増加しており、生存者がどの程度VPDのリスクにさらされているか、またワクチン接種に対する反応を記録することが不可欠である。
方法:この第II相前向き研究では、がんと診断され、移植を伴わない集中化学療法を受けた65人の小児患者を対象とした。12種類のVPD(破傷風、ジフテリア、百日咳、ポリオ、インフルエンザ菌、肺炎球菌、B型肝炎、髄膜炎菌A、麻疹、流行性耳下腺炎、風疹、水痘)に対する血清ワクチン抗体濃度を、がん治療終了後およびワクチン接種後に測定した。
結果:多くの患者は治療終了時にVPDに対する防御抗体が不足していた。ワクチン接種後、87%~100%の患者が不活化ワクチンに対する防御抗体価を有していた。弱毒生ワクチンに対する防御率は、麻疹(79%)、流行性耳下腺炎(83%)、風疹(85%)、水痘(82%)と低かった。年齢(7歳未満と7歳以上)、診断(血液疾患と固形腫瘍)、治療終了からワクチン接種までの期間(不活化ワクチンでは3~6ヵ月と6ヵ月以上)、ベースライン時の絶対リンパ球数やCD4 T細胞数の違いによるワクチン接種反応率の差は統計学的に有意ではなかった。
結論:小児がん生存者では、治療終了後3ヵ月目に不活化ワクチンを単回接種することで、接種後に血清状態を評価する必要なく、これらのVPDに対する予防効果が得られる。弱毒化生ワクチンの場合は、予防のために2回の接種が必要であり、これらの伝染性VPDのいずれかに罹患するリスクを患者と医療提供者に知らせるために、血清状態の評価を行うことを推奨する。
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