肝機能障害を伴うHSD10ミトコンドリア病の新生児型の原因と考えられるHSD17B10遺伝子の新規c.59 C > T変異体:症例報告と文献レビュー。
DOI:10.1186/s13023-024-03513-2
アブストラクト
背景:HSD17B10遺伝子の病原性変異体はHSD10ミトコンドリア病(HSD10 MD)の原因となり、軽症から重症まで幅広い症状を引き起こす。典型的な症状は、知的障害、振戦、心筋症、神経変性、異常行動などである。本研究では、HSD17B10遺伝子の新規c.59 C > T変異とHSD10 MD(新生児型)患者の臨床的表現型の特徴について検討した。
結果:知的障害、代謝性アシドーシス、高乳酸血症、低血糖、胆汁うっ滞性肝炎、心筋酵素値、2-メチル-3-ヒドロキシ酪酸(2M3HBA)値の軽度上昇、早期死亡を呈した生後2ヵ月12日の中国人男児について報告する。ミトコンドリアゲノムの全長配列決定は正常であったが、本人とその両親の全ゲノム配列決定により、HSD17B10遺伝子の新規de novo半接合型変異(c.59 C > T (p.S20L))が明らかになった。分子動力学シミュレーション解析と蛋白質構造解析から、c.59 C > T (p.S20L)変異体は蛋白質の立体構造安定性を破壊する可能性が示唆された。表現型解析、分子遺伝学的解析、蛋白質構造解析、分子動力学シミュレーション解析の結果を総合すると、この新規変異型は現在、病因変異である可能性が高いと考えられている。HSD10 MD(新生児型)は肝機能障害を引き起こす可能性がある。
結論:HSD10 MD(新生児型)は肝機能障害を引き起こす可能性がある。c.59 C > TのHSD17B10のde novo変異体は、生後2ヵ月と12日の患者においてHSD10ミトコンドリア病の新生児型表現型を示唆し、HSD17B10関連疾患の変異スペクトルを広げた。
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