南アジア3カ国における3~4歳児の幼児期の発達に対する障害の影響:複数指標クラスター調査からの証拠
DOI:10.1186/s12887-025-05525-8
アブストラクト
背景:「持続可能な開発目標(SDGs)」は、「誰一人取り残さない」という原則を強調し、すべての子どもにとって最適な幼児期の発達(ECD)を優先している。このような焦点が当てられているにもかかわらず、低・中所得国では、障害とECDの関連はほとんど知られていない。本研究の目的は、南アジア3カ国における3~4歳児のECDに対する障害の影響を調査することである。
方法:2017年から2020年にかけてバングラデシュ、ネパール、パキスタンで実施された6回にわたる多指標クラスター調査から抽出した56,841人の子どものデータを分析した。アウトカム変数として、幼児期発達指数(ECDI)とそのドメイン(身体的、学習的、情緒的、社会的幸福)を考慮した。主な説明変数は、障害の状態および障害の種類とした。説明変数と結果変数の関連は、潜在的な共変量を調整した多段階混合効果バイナリー・ロジスティック回帰モデルを用いて決定した。
結果:南アジア3カ国の子どもの約44%は発達が順調でなく、障害のある子どもの有病率は58~76%に増加した。障害のある子どもは、障害のない子どもに比べ、すべての領域で発達が順調でない確率が有意に高かった。国による違いは明らかで、ネパールは一貫してバングラデシュやパキスタンよりも低い確率を示していた。ECDIが不十分である可能性とその領域は、障害の種類によっても異なっていた。
結論:調査結果は、障害のある子どもたちが発達のマイルストーンを達成する上で困難に直面していることを強調しており、教育成績の低下や学校からの退学といった長期的な負担があることを示している。これは、インクルーシブや幼児期の発達に関連するSDGsの達成にリスクをもたらす。インクルーシブ教育政策、特に農村部におけるインクルーシブ教育政策の実施と、障害のある人への支援環境の整備は、こうした課題に取り組む上で極めて重要である。