先天代謝異常の小児患者における肝移植の短期および長期転帰:単一施設研究。
DOI:10.1111/petr.70067
アブストラクト
背景:先天性代謝異常症(IEMs)は、特に小児期に重大な罹患率と死亡率を引き起こす遺伝性疾患である。肝移植(LT)はこれらの疾患に対して根治的あるいは部分的に有効である。IEMに対する肝移植は増加しており、IEMは胆道閉鎖症に次いで2番目に多い小児肝移植の理由となっている。
患者と方法:2001年から2023年の間に、バシュケント大学アンカラ病院で50人のIEMs小児患者がLTを受けた。レトロスペクティブに収集されたデータには、診断名、性別、診断年齢、LT施行年齢、LT適応、ドナーデータ、移植片の種類、拒絶反応エピソード、移植後の合併症、LT前後のIEMの臨床所見などが含まれる。治療方法、追跡期間、生存期間も記録した。
結果:332例の小児LT患者のうち、50例(15.1%)にIEMがみられ、3例に再移植が必要であった。診断名はグリコーゲン貯蔵病(n=11)、チロシン血症1型(n=10)、原発性高オキサ尿素血症(n=6)、尿素サイクル障害(n=6)、ホモ接合性家族性高コレステロール血症(n=4)、プロピオン酸血症(n=4)であった、デオキシグアノシンキナーゼ欠損症(n=3)、メープルシロップ尿症(n=2)、メチルマロン酸血症(n=1)、ニーマン・ピック病B型(n=1)、新生児胆汁うっ滞不明のアルカプトン尿症(n=1)、胆汁酸合成障害(n=1)。両親の血縁率は74%であった。生体関連ドナーは48例(90.5%)に臓器を提供した。LT時の平均年齢は75.3±8.2ヵ月(範囲:5~218ヵ月)、追跡期間は82.1±10.2ヵ月(範囲:1日~229ヵ月)であった。1年後、5年後、10年後、15年後の生存率は、それぞれ83.7%、81%、81%、70.9%であった。
結論:LTは、慢性臓器不全を引き起こし内科的治療が困難な小児のIEMに対して有効な治療法であり、長期予後も良好である。
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