低・中所得国41ヵ国における生後12~23ヵ月児の小児基本予防接種の完全接種率と基本的特性による変動:2015年から2025年までの人口統計・保健調査報告のメタ分析。
DOI:10.1016/j.vaccine.2025.127019
アブストラクト
はじめに: ワクチン接種は、病気に伴う疾病や死亡を減らすために重要な役割を果たしている。予防接種を受けていない、あるいは部分的にしか受けていない子どもは、病気や死亡のリスクが高い。ワクチン接種の有益性が証明されているにもかかわらず、特に中低所得国(LMICs)においては、その接種率は不均衡なままであり、接種へのアクセスや接種率の格差が公衆衛生上の重大な課題につながる可能性がある。このメタアナリシスは、生後12~23ヵ月の子どもにおける小児基本予防接種(CBCV)の接種率とそのばらつきを評価することを目的とした。
方法:2015年から2025年の間に、12~23ヵ月の小児における基本的な予防接種を報告した、あらゆる言語で発表された人口統計および健康調査報告を対象とした。ランダム効果メタ解析モデルを用いて、ワクチン接種のプール有病率を求めた。研究間の異質性の潜在的原因を特定するため、研究特性別にサブグループ解析を行った。フォレストプロットと表を用いて、プール推定値を対応する95%信頼区間(CI)とともに表示した。
結果:CBCVのカバー率は59.0%であり、95%信頼区間は53.1%~65.0%であった(I=77.9%、p<0.001)。2015年から2018年に発表された報告では、ワクチン接種率は55%であったが、2019年から2024年に発表された報告では、プールされた効果量は63%に増加した。具体的なワクチン接種率は、BCGが86%、5価ワクチンが67%、ポリオが69%、麻疹が75%であった。接種率は母親の教育、出生順位、貧富の状況によって異なっていた。
結論:LMICsにおける小児期の基本的な予防接種の接種率は、2030年までに90%以上という世界的な目標を大きく下回っている。特に母親の教育、出生順位、世帯の貧富の状況に関連して、予防接種率に著しい格差が観察された。このような課題に対処するためには、予防接種へのアクセスを改善し、その重要性に関する公衆教育を強化することが、政策立案者や保健医療従事者にとって不可欠なステップである。
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