掲載日:
2017年から2023年までの浙江省杭州市におけるヒトパピローマウイルス型の分布と有病率に関する多施設共同研究。
DOI:10.1038/s41598-025-92102-9
アブストラクト
発癌性ヒトパピローマウイルス(HPV)感染は、女性でも男性でも肛門性器癌の主要な原因である。それにもかかわらず、同一集団内の性別を超えたHPV感染の疫学を調査した研究は限られている。このレトロスペクティブ研究では、2017年から2023年の間に収集された中国・杭州の299,089検体(女性283,556人、男性15,533人)を分析した。全体のHPV感染率は23.8%で、有病率は女性22.85%、男性41.13%であった。高リスク型HPVの有病率には性差が認められた。女性で最も多かった高リスク型HPVはHPV52(5.58%)、次いでHPV58(2.84%)、HPV16(2.64%)であった。男性でもHPV52(5.28%)が最も多く、次いでHPV16(5.08%)、HPV51(3.57%)であった。年齢によるHPV感染率は二峰性のパターンを示し、20歳未満と61~65歳でピークを示した。COVID-19パンデミックの間、HPV感染率全体は全年齢層で約3%減少した。本研究は、パンデミックの背景におけるHPV感染の動態について貴重な知見を提供するとともに、思春期男性に対するHPVワクチン接種の必要性を強調するものである。