小児における呼吸器合胞体ウイルス(RSV)とIL-33の同時検出を目的とした疾患バイオマーカーとしてのポイントオブケア検査の開発。
DOI:10.1007/s10096-025-05104-w
アブストラクト
目的:ヒト呼吸器合胞体ウイルス(hRSV)は、5歳未満の子供における急性呼吸器疾患の主要な原因の一つです。hRSV感染は、重大な罹患率と死亡率と関連しており、世界中の公衆衛生システムに大きな経済的負担をもたらしています。効果的な患者管理のためには早期かつ正確な診断が不可欠ですが、現在の診断ツール(RT-qPCRなど)は専門的な機器と人材を必要とします。さらに、現在利用可能な方法は、hRSVによる疾患の予後に関する情報を提供しません。この状況を踏まえ、私たちは、鼻腔スワブからhRSVのリンタンパク質P(P-hRSV)と疾患重症度のバイオマーカーであるインターロイキン-33(IL-33)を同時に検出可能な、免疫クロマトグラフィーストリップ(ICS)を基盤とした新たな迅速診断検査の開発と事前検証を目的としました。
方法:P-hRSVおよびIL-33に対するモノクローナル抗体を生産し、ICSに組み込みました。20分間の迅速診断検査は、組換えタンパク質、ウイルス感染細胞、ウイルス希釈液、およびhRSV陽性・陰性の臨床検体を用いて評価・検証しました。感度と特異性を評価しました。
結果:ICSはP-hRSVを103 pg、hRSVを187 PFUまで検出しました。組換えIL-33については、ICSは780 pgまで検出しました。検査ストリップは高い特異性を示し、インフルエンザやヒトメタニューモウイルスを含む他の呼吸器ウイルスからhRSVを区別しました。さらに、IL-33は一部のRSV非感染例でも検出されました。
結論:得られたデータは、hRSVとIL-33を同時に検出する複合迅速検査の実現可能性を支持しています。この検査は、一次医療施設や救急室におけるhRSVの重症例スクリーニング用のPOC検査として有用である可能性があります。
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