小児悪性腫瘍における腫瘍随伴症候群の総説。
DOI:10.12659/MSM.947393
アブストラクト
腫瘍随伴症候群(PNS)とは、癌の形成に伴う一連の症状および徴候であるが、癌の直接浸潤や転移によるものではない。PNSは、腫瘍細胞によるペプチドまたはホルモンの分泌、あるいは腫瘍抗原と宿主抗原との免疫学的交差反応によって生じる。成人集団では、PNSは癌患者の15%にみられるが、小児患者に関するデータはまだ不足している。注目すべき事実は、PNSは癌の診断に数ヶ月から数年先行することがあるということである。PNSは事実上、人体のあらゆる臓器を侵す可能性がある。小児では、神経系(脳炎、オプソクローヌス-ミオクローヌス症候群)、皮膚(天疱瘡、円形脱毛症、皮膚そう痒症、壊疽性膿皮症、皮膚母斑)、リウマチ(皮膚筋炎、血管炎)、肝臓(萎縮性胆道症候群、特発性胆汁うっ滞)、内分泌系(高カルシウム血症、抗利尿ホルモン分泌不全症候群)、腎臓(ネフローゼ症候群)、または造血系(溶血性貧血、血小板減少症、好酸球増多、血栓性大血管症、白質反応)。PNSはすべての小児がんに伴う可能性があるが、ホジキンリンパ腫、急性リンパ芽球性白血病および骨髄性白血病、神経芽細胞腫、ウィルムス腫瘍、肉腫で最も多い。PNSの診断は、その異常な経過、標準治療に対する反応性の欠如、または長期間の持続が疑われた時点で早期に開始すべきである。診断には、典型的な疾患特異的検査、頭頸部、腹部、骨盤の同時画像診断、悪性腫瘍の有無を調べる骨髄生検を行う。PNSの治療には主に抗腫瘍療法が行われ、時には免疫抑制療法が追加されることもある。本稿の目的は、悪性腫瘍を有する小児におけるPNSについて概説することである。
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