炎症性腸疾患を有する小児における貧血の有病率と傾向:全国登録データベースに基づくコホート研究。
DOI:10.1002/jpn3.70029
アブストラクト
目的:新規に炎症性腸疾患(IBD)と診断された小児における貧血の有病率とその特徴を明らかにし、追跡調査におけるその傾向を調査した。方法:イタリア小児消化器病・肝臓病・栄養学会(ISPGHE)のIBDレジストリに登録された、診断時に貧血を呈するIBD小児を対象とした観察的、多施設共同コホート研究。データは診断時と1年後に収集された。
結果: IBD患者1,634例中、589例(クローン病[CD] 295例[50%]、潰瘍性大腸炎[UC]/IBD未分類[IBDU] 294例[50%])に貧血が認められ(36%)。貧血の有病率はCDでUCより高かった(39%対33%、p=0.009)、かつ大多数の患者は中等度の貧血を示した(55%)。CDの患者ではUCに比べて軽度の貧血の有病率が高かった(38%対33%、p<0.0001)、一方、重度の貧血はUCでより頻度が高かった(13%対6%、p=0.001)。CDでは、診断時の年齢が低く、アルブミン値が低いほど貧血の重症度と関連していました(それぞれp=0.0007および<0.0001)。UCでは、重度貧血を有する患者は軽度および中等度貧血を有する患者に比べて重症疾患の頻度が高かったです(20.6%対43.6%、p=0.01;17%対43.6%、p=0.001)。1年後、99名(22.9%)の子供が持続性貧血を呈し、貧血が解消した患者に比べてより重症な疾患を特徴としていました。
結論: IBD患児の3分の1以上が貧血を呈し、そのうち大多数は中等度でした。重度貧血はUCにおいてCDよりも頻度が高かったです。診断後1年で4人に1人が貧血を継続しており、この問題への十分な注意が欠如していることを示唆し、専門的な治療管理と慎重なモニタリングの必要性が強調されます。
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