重症血友病の治療動向とEUHASSレジストリによる阻害因子評価への影響。
DOI:10.1111/hae.70039
アブストラクト
背景:過去15年間、欧州において、新しい延長半減期(EHL)型遺伝子組換えFVIII/IX製剤および血友病A(emicizumab)に対する非置換療法が導入されました。これらの変化は、重症血友病A(SHA)およびB(SHB)の未治療患者(PUPs)および既治療患者(PTPs)におけるFVIII/IXの曝露に影響を及ぼし、阻害物質の発現および/または検出に変化をもたらす可能性があります。目的:重症血友病の治療傾向と、阻害物質の発現率の同時変化を報告すること。
方法:2008年から2022年まで、97の施設がFVIII/IX濃縮製剤に対する阻害因子の発現を欧州血友病安全監視システム(EUHASS)に報告しました。阻害因子は四半期ごとに報告され、阻害因子発現のないPUPsは年次で報告されました。PUPsの累積阻害因子発現率(95%信頼区間[CI])およびPTPsの発現率/1000年(CI)を算出しました。
結果:2022年までに、SHA-PUPs(n = 1,574)はエミシズマブ(44%)、SHL-rFVIII(21.5%)、pdFVIII(17.5%)、EHL-rFVIII(17%)を投与されました。SHB-PUPs(n = 236)は、EHL-rFIX(79%)とSHL-rFIX(21%)を投与されました。SHA-PTPs(68,772年)は、EHL-rFVIII(31%)、SHL-rFVIII(28%)、エミシズマブ(25%)、およびpdFVIII(15%)を投与されました。SHB PTPs(11,185年)は、EHL-rFIX(69%)、pdFIX(15%)、およびSHL-rFIX(15%)を投与されました。SHA-PUPsにおける抑制因子の発生率は、2016年以前には24%から2022年には6%に減少しました(p < 0.001)。SHB-PUPsでも同様の傾向が観察され(9%から3%;p = 0.066)、ただしSHA/SHB PTPsでは安定していました。
結論:2022年時点で、SHA-PUPsの44%とSHA-PTPsの25%がエミシズマブ予防投与を受けていました。同時に、SHA-PUPsにおける阻害因子発生率は6%に減少しました。SHBでは、EHL-rFIX治療はSHB-PUPsで79%、SHB-PTPsで69%に増加しました。新規濃縮液における阻害因子発生率の評価は、FVIII/FIXへの曝露遅延を引き起こす新規治療法により妨げられる可能性があります。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。