小児リウマチ性疾患における炎症性腸疾患。
DOI:10.1007/s10067-025-07424-w
アブストラクト
はじめに:小児期のリウマチ性疾患(RD)は、自己免疫や炎症に基づいて発症する全身性疾患であり、炎症性腸疾患(IBD)を伴うことがある。炎症性腸疾患(IBD)との関連性が不明な場合、治療が十分でなかったり、炎症性腸疾患に対する治療がIBDの増悪につながったりする可能性がある。従って、関連性を早期に発見することは、疾患の正しい管理にとって極めて重要である。
目的:本研究の目的は、RD患者におけるIBDの頻度を明らかにすることである。また、どのような症例でIBDを疑うべきかを検討することも目的とした。
方法:2012年から2024年の間に当院の小児リウマチ科でRDと診断され、IBDと診断された患者の電子カルテをレトロスペクティブにレビューした。
結果:2012年から2024年の間に、家族性地中海熱(FMF)患者650例中20例(3%)、慢性非細菌性骨髄炎(CNO)患者40例中3例(7.5%)、若年性特発性関節炎(JIA)患者170例中2例(1.2%)がIBDと診断された。15例(62.5%)が初診でRDと診断されたのに対し、9例(37.5%)は初診でIBDと診断され、その後症状からリウマチ科に紹介された。RD診断時の年齢中央値は9歳(四分位範囲(IQR)14.5)であった。IBD診断時の年齢中央値は12歳(IQR, 13)で、クローン病(CD)が12例(50%)、潰瘍性大腸炎(UC)が10例(41.6%)、判定不能が2例(8.4%)であった。大半の患者はIBDの古典的所見を有していたが、4人の患者は治療抵抗性鉄欠乏性貧血、肛門周囲膿瘍、体重減少、成長遅延など、より漠然とした症状を呈していた。
結論:RDとIBDは病理学的経路と臨床所見が類似しており、IBDは様々なRDに合併する可能性がある。まれで非典型的な症状があれば、IBDの診断を考慮すべきである。さらに、複雑な腸管外症状を呈するIBD患児では、RDも考慮すべきである。キーポイント - RD、特にFMF、JIA、CNOはIBDと関連する可能性がある。- 小児リウマチ専門医は、RD の経過中に発現する非典型的な所見があれば、IBD を潜在的な診断として考慮すべきである。- RDとIBDの共存は、疾患の進行や治療方針の決定において重要である。
会員登録すると記事全文を読むことができるほか、「NEJM Journal Watch」や「国内論文フルテキスト」といった会員限定コンテンツを閲覧できます。