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エピゲノムとプロテオミクスの解析により、乳幼児期の免疫制御と喘息発症に関する知見が得られた。
DOI:10.1038/s41467-025-57288-6
アブストラクト
重症細気管支炎(入院を必要とする細気管支炎)を有する乳児は、小児期に呼吸器疾患に罹患するリスクが高い。これらの乳児の多民族コホートにおいてエピゲノムワイド関連研究を行った。我々は、3歳までの喘鳴の再発(170例、318例)および/または6歳までの喘息(112例、394例)と関連する、乳児の血液(1歳未満)中の61のメチル化された領域を同定した。これらの異なるメチル化領域は末梢血好中球のエンハンサーに濃縮されている。いくつかの異なるメチル化領域は、ライノウイルス感染や特定の血液細胞型との相互作用を示した。同じ血液サンプルにおいて、104のタンパク質の循環レベルはメチル化領域と相関し、多くのタンパク質が喘息との表現型的関連を示した。メンデルランダム化により、血漿中のST2(IL1RL1としても知られる)タンパク質の増加が喘息予防に役立つことを支持する因果関係の証拠を発見した。DNAメチル化もまた、乳児の血液中のST2タンパク質レベルと関連している。以上の結果から、DNAメチル化は、生後早期の全身性免疫応答を制御することにより、喘息の発症に寄与することが示唆された。