MRI所見と臨床的特徴に基づく血友病性関節症の進行予測。
DOI:10.1186/s13023-025-03716-1
アブストラクト
目的:異なる治療後の血友病性関節症(HA)の進行と密接に関連する磁気共鳴画像(MRI)および臨床的特徴を同定し、Cox比例ハザード回帰を用いてHA進行予測モデルを確立することで、個別化された臨床代替療法計画の開発を容易にする。
材料と方法:2010年12月から2023年5月までに河南省血友病登録管理センターに登録されたHA患者からレトロスペクティブに臨床データと画像データを収集した。組み入れ基準は、出血の既往があり、初回/治療後にX線およびMRIによる再評価を行った関節とした。重度の損傷(すなわち、Petterssonスコア>6)を有する関節は除外した。関節の病勢進行は、Petterssonスコアが1ポイント以上上昇した場合と定義した。無増悪生存期間(PFS)が主要評価項目であった。MRIによる観察では、関節液貯留、滑膜肥大、ヘモシデリン沈着、関節縁の骨破壊または嚢胞変性、軟骨破壊が認められた。年齢、肥満度(BMI)、第VIII因子(FVIII)活性、活性化部分トロンボプラスチン時間(APTT)、プロトロンビン時間(PT)、治療法の種類、年間関節出血率(AJBR)、血友病関節健康スコア(HJHS)も評価した。その後、単変量および多変量Cox比例ハザード回帰モデルを用いて、HAの進行に影響する臨床的および画像的特徴を解析した。単変量解析でP<0.15であった因子は、その後多変量解析に組み込まれた。様々な画像的および臨床的特徴がPFSに及ぼす影響はKaplan-Meier(K-M)生存曲線で評価した。
結果:本研究では65人の患者98関節を対象とした。追跡期間中に63関節で進行が認められた。単変量および多変量のCox解析の結果、MRIで検出された滑膜肥大(MRI-SP)がHA進行の独立した危険因子であることが明らかになった。BMIをモデルに組み入れると予測性能が向上した(モデル1:c-index = 0.671、P < 0.01)。Spearmanの相関分析により、ベースラインのMRI-SPと検出されたヘモシデリン沈着(r = 0.73)およびAJBRs(r = 0.66)の間に強い相関があることが明らかになった。K-M生存曲線は、予防的治療を受けている患者とMRI-SPの重症度が低い患者ほど無増悪生存期間が長いことを示した。
結論:MRIで検出された滑膜肥大は、HA進行の独立した危険因子である。HA進行のリスクを評価するための共変量としてBMIを含む予測モデルは、HA患者に対する個別化された治療計画を立てるための補助ツールとして役立つ。
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