新生児の唾液を用いた先天性サイトメガロウイルス感染症の普遍的スクリーニング。
DOI:10.1016/j.jcv.2025.105800
アブストラクト
背景:先天性サイトメガロウイルス感染症(cCMV)は、先進国において最も一般的な胎内感染です。診断の金標準は、新生児の尿中のCMVの検出です。尿検体の収集が困難な点を考慮し、唾液は早期診断と適切な介入のための補助材料を提供する代替検体として注目されています。目的:本研究の目的は、唾液を標的検体として使用し、尿を確定検体として用いる普遍的なスクリーニングプログラムの評価を行うことです。
結果:2019年5月から2024年11月まで、5,168人の新生児において唾液中のCMV排出をスクリーニングし、45人が陽性でした。44人の新生児から尿検体を採取し、44人中12人が一致した結果を示しました(有病率=0.232%)。そのうち5人の新生児にCMV関連症状が認められました。唾液において、cCMV陰性群と陽性群のCt値の差は有意でした(38.59 vs. 28.56、p値 < 0.0001)。Ct値のカットオフ値を38.8とした場合、感度は100%、特異度は53.1%、陽性予測値は44%、陰性予測値は100%でした。ROC解析ではAUC値が0.930でした。尿中の平均ウイルス量は31,266,663コピー/mlでした。討論:本研究では、ステアール病院の診療圏におけるcCMV感染の有病率が0.232%であることが報告されました。PCRに基づく唾液中のCMV検出は良いスクリーニングツールですが、汚染による偽陽性結果に注意が必要です。当コホートでは、CMV陽性の膣または子宮頸部分泌物が、CMV陽性の母乳よりも汚染源としてより可能性が高いと考えられます。唾液における高い偽陽性率のため、尿検体での確認検査が必須です。
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