成人と小児のクローン病における上皮内小胞体ストレス関連タンパク質の分布:炎症と線維化との関連性。
DOI:10.1016/j.dld.2025.04.015
アブストラクト
背景/目的:クローン病(CD)における腸管狭窄は、線維化に起因し、治療が困難な課題です。現在の治療法は炎症の抑制に焦点を当てていますが、線維化に対する効果は限定的です。小胞体ストレス関連タンパク質(ERストレス関連タンパク質)のうち、タンパク質ジスルフィドイソメラーゼ(PDIs)は線維化に寄与する可能性がありますが、CDにおけるその役割は不明です。本研究では、小児および成人CD患者における腸上皮組織中のAGR2、BiP、PDIA6、ERP44の分布と、線維化および炎症との関連性を調査しました。
方法:2009年から2023年の間に224例の患者を後方視的に分析しました。CD患者(狭窄を有する群としない群)、非炎症性腸疾患(IBD)対照群、潰瘍性大腸炎患者を比較しました。免疫組織化学法で上皮組織における小胞体ストレス関連タンパク質の分布を評価しました。H&E染色とMassonのトリクローム染色で炎症と線維化を評価しました。タンパク質分布、炎症、線維化との相関関係を解析しました。
結果:AGR2とBiPは、特に小児発症CDにおいて、線維化炎症性および線維化腸上皮組織で増加していました。ERP44は、小児CDにおいて線維化と関連していました。PDIA6は、非IBDと比較してCDで発現が上昇していましたが、線維化との関連は認められませんでした。小児と成人CD、および回腸と結腸の間で、タンパク質分布の異なるパターンが観察されました。
結論:線維化および炎症性腸組織におけるAGR2、BiP、PDIA6、およびERP44の異なるパターンは、CD関連線維化における潜在的な役割を示唆し、バイオマーカーまたは治療標的としての探索が望まれます。
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